小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

信長、蘇生せよ、この悲観の中に

INDEX|67ページ/111ページ|

次のページ前のページ
 

本能寺の変の謎解き、三人は車内でそれを話し込む内に安土城跡へと到着した。
そして城山の登り口へと降り立った。
辺りは初夏の中。 新緑で覆われた安土山が目映いばかりの陽光を受け、キラキラと輝いている。

信長が日本統一の覇権を掛けて、象徴として選んだ山が目の前にある。
そこからは湧き出て来る歴史の重みが感じられ、まことに荘重で美しい。

そんな山を面前にした三人は、これから始まる埋蔵金探しの緊張なのか、一度大きな深呼吸をする。
そしておもむろに天主への石段へと、すなわち大手道を登り始める。

それは幅六メートルはあろうか、西の丸へと直線で繋がる安土城正面の坂道。
暫くしてから、最初に奈美が言葉を発する。

「私、安土城に来たの初めてだけど、信長君、アンタ、石仏まで石段に使ったのね、もう何回も踏んでしまったわ、大丈夫かしら … 罰は当たらないでしょうね」

「石仏、そんなものはただの石っころじゃ、心配要らぬ」と、信長はやっぱり強気。

「そうなの、だけどこの石段は急勾配で、心臓がパクパクして、貧血起こしそうだわ」

「そうだよなあ、メッチャ急な石段だよ、もうちょっとペースを落とそうか、だけど、さすが信長、ぜんぜん平気な顔してやがんの」
高見沢は、奈美以上にゼイゼイと荒い息使いをしている。