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でんでろ3
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novelistID. 23343
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出られない! 出たくない!

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「地球に住む人々は、魂を重力に引かれて飛ぶことができない」
と、クワトロ・バジーナ大尉は言った。今、私も言おう、
「こたつに入った人々は、魂を温(ぬく)さに惹かれて出ることができない」
と。
 テレビのチャンネルはリモコンで変えられる。便利である。しかし、食糧(スナック菓子)も水(といっても清涼飲料水)も尽きた。……私は、このまま死ぬのか?
 いや、特に待っている人はいないとはいえ、こんなところで死ぬわけにはいかない。基地(台所)に行けば、予備の食糧があり、補給が可能だ。
 問題は、誰が取りに行くか、だ。戦力を分析しよう。この隊の隊長である私は考える。しかし、考えるまでもなく、初めから他の隊員などいない。私=この隊の構成員全員。なんて孤独な戦いなのだ。
 戦力に続いて、戦況を分析しよう。今、私は、こたつの中という安全地帯にいる。しかし、その周りはと言えば、酷寒の冷凍地獄が取り巻いている。さらに、戸を1枚隔てた台所は、それ以上の寒さであることは、想像に難くない。
 くそぅ。こんなことなら、全ての食糧を手の届くところに置いておくんだった。誰だ、太るからこれだけにしておこうなどと言ったのは! ……私だ。
 確かに、これ以上食べるのは、太るというリスクを伴う。積み重なれば、やがて経済不安も引き起こしかねない。しかし、あと少し。あと少しだけ食べたいのだ。やらずに後悔する方が、やって後悔するより、その度合いは大きいと言うではないか。(誰が言ったか知らないが)
 やる。やってやる。決意を新たにしたが、問題はその方法だ。
 そのとき、宇宙戦艦ヤマトの沖田艦長のセリフが蘇った。古代進に硫酸の海に潜れと言う沖田艦長。古代が、「ヤマトがとけてしまいます」と言うと、
「5分や10分でなくなるものでもあるまい……とけきる前に鉱脈をさがしだして、波動砲で撃て!」
と言うのだ。
 そうだ。これは、電気こたつ。だが、電源の供給が断たれても、すぐさま、こたつの内部温度が下がり切ってしまう訳ではない。
 私は、電気こたつ内の熱源ユニットからコードを引き抜いた。アンビリカルケーブル無しでも、しばらくは動ける。私は、こたつの中に潜ると亀のようにそれを背負い、四つん這いで歩きだした。台所へ出ようとして、こたつが戸につっかかって、それ以上進めないことに気付く。ええぃ! ままょ! どのみち立たなければ食糧は取れないのだ。私は、意を決して素早くこたつを出ると、戸棚から瞬時にカルビーのポテトチップス(コンソメパンチ)をチョイスしてひっつかむと素早くこたつの中に潜り込んだ。とうとうこたつから出てしまったが、家臣のために瘴気マスクを外したナウシカのようなものだ。誇りに思え。そう言い聞かせた。
 先ほどと逆の行程をたどり、無事元の場所に収まると、すぐさま熱源ユニットにコードをつなぎ直した。やった。私は、生還したのだ。
 そのとき、あることに気付き愕然とした。……トイレに行きたくなっていた。