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ながっちょ
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novelistID. 33391
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one`s heat 1話 初期微動

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「起立!きょうつけー!礼。」
少し寒い日。
「今日はこの岸高に入学して3日目だな。そろそろ慣れてきたころかな? そんなわけで、今日も書類配んぞー」
この担任ウザっ!
だり~なぁ~、高校に入学したはいいものの、クソうぜー担任に当たったし… はぁー中学のほうが楽しかったなー
たしか半年前くらいか、都大会までいって、入賞したの…
なんだかんだいってバドだった。最後の翔のドロップはうまかったなー。俺まで騙されたもん。

iPodで曲をいじりながら、独り言と心の声の境でさまよっていた。

「BUMPOFCHICKEN/オンリーロンリーグローリー…」
この曲は、翔から勧められた思いでの曲。翔は元気かな…
さっきの独り言が聞こえたのか、担任が、いつのまにか目の前に…
「こらっ!永井。ホームルーム中にウォークマンいじりやがって!没収~」
担任はおれのiPodを片手で奪い取り、クラスに見せびらかすようにして、胸のポケットにしまった…
流石に、入学後すぐに担任に反抗できず、あっさりiPodを見つめていた…
「最悪のスタートだ… あいつ、ウォークマンじゃなくてiPodだし。やっぱうぜー」

腹が立ったホームルームが終わり、廊下に出ると…
「野球部!部員募集中!」
「体操部見ってて~」
「サッカー部しかねーぞ!岸高は!」
廊下に先輩たちが行列をつくって、部活勧誘わら罵声やらで騒いでいた。
「すげーな高校って…」
心から驚いていると、俺の肩を
「バン!!」と女の子がぶつかった。
「すみません!」とぺこっと頭を下げた。そうして女の子はダンス部の勧誘へ向かって行った。それを目で追っていると、見慣れた顔が。
「ながっちょー!岸高だったんだ!知らんかったわ~!」
と、いつも通り眠そうな顔をしながら、すこし背の高い男がやってきた。
「疾詩(トシ)じゃん!おまえも岸高かよ(笑)」
「ちょっと頑張って岸高に受かったぜーつかなんで、ながっちょは岸高なの?東高とか受けれたんじゃない?」
トシの言葉で思い出した…受験たるくて、2くらい下げてここ来たんだっけ…
「ちょっといろいろあって… そういえばトシは何部の体験いく?」
うちの高校では、体験入部って制度があって、二週間くらい部活ができる。
「やっぱし、軽音かな?ギターやってるしー バンド組みたい!」
なんか久しぶりにトシのやる気みたいなのみたかも。
「ギターか!かっけーな!」
「あのさ!今日軽音が新入生歓迎ライブやるらしから、ながっちょ暇だったら行かね? つかひまやろ!」
トシはもう連れてくきまんまんなようだ。
「ニコ生で可愛い女の子、探してるやつに言われたくないし~。でも、暇やから行くわー。実際、軽音部ってどんなんか気になるし…」
「マジか!ありがとう。16:00体育館らしいから…」
そういって、ケータイの時計を確認するトシ。
「やべえ!いま15:56じゃん(笑)ながっちょダッシュ!ダッシュ!チャクラ練って!」
「まだ厨二病抜けてねーのかよ(笑)ちょっと待って!」
急いで、階段を上がって、下りた先にあったのは…

「すげー」
中央にあるドラムセット。いろいろなケーブルが散らばっている。そしてでっかいスピーカー。舞台周辺に岸高の生徒が、歓声をあげてる…
そして、マイクの前に三人。ドラムに一人。四人バンドか…
圧倒されてると、ヴォーカルの人が
「岸高へようこそ!ウェルカムトゥーキシコー! 我らがFIVESTARだ!」
バンド名を言ったとたんに、体育館が躍動する。なんだろ、この盛り上がり、なんか俺も巻き込まれる。いや飲み込まれる!
観客がメンバーの名前を呼んでる…
そして、ヴォーカルがバンドのメンバーをみて、「行くよ」と声をかけるように、合図した… すると
聞いたとのあるギターサウンドが爆音と鳴って耳に届く。耳を抑えると少し楽になった。そして耳は答えを出す。
「オンリーロンリーグローリーだ!!!」
CDとは違う。音楽に詳しいわけじゃないが、ギターが。ベースが。ドラムが自分の奥に入るのがわかる。
いままでギターの音は自分の中でただのギターの「ジャーン」だけだったのが何通りも分散した瞬間だった。

僕だけが貰うトロフィー


どうしたんだろう、この歌詞の裏側にはこんなメロディがあったんだ。
ギターと弦と同じように、心が揺れた。


「ありがとうございました!」
そう告げるまで、人生で恋以外で始めて心を奪われたかもしれない。そう思うくらい、自分が高校生になったこと。iPodを取られたこと。たくさんのことが、心の中で後回しにされた。
「あのバンドのベースうめーな。」
トシが隣にいたことも忘れてた(笑)
「ベースとかわからんけど、なんか心がもってかれた…」素直に言葉が出た。
「俺も最初はそんな感じだったよ。小学生のときに、ねーちゃんの高校の文化祭に行って、そんときのギターがかっこよくて(笑)」
小学生か…
この体験は、もっと早く体験したかったかもしれない。
「でもね。弾いているほうが何倍も楽しんだ。暴走族みたいにでっかい音出すのが気持ちいいとかじゃなくて、音が生まれてくっつくのがわかるんだ。」
「そうなんだ…」
言ってはみたものの、実際わかるはずがない。
「続いての曲は…」
そうヴォーカルが告げたと同時に。
「ブーブー!ブーブー!」
トシのケータイが鳴り出した。
「ながっちょ。なんか元中でラーメン食うらしいよ!行かね?腹減ってから」
なんかトシ死にそうな目をしてる。
「おまえ、ガブリチュウ奢れよ!あっ職員室よっていい?iPod返してもらわなきゃ。」
トシがどうせ32円だろ!と突っ込んできそうだったから…
「言っとけど、ガブリチュウが1番、コンビニで売ってる菓子でうまいからな!」って先に突っ込んだ。
「はいはい(笑)」
流されたので、怒ったふりをして体育館を出た。

でも、心は体育館に残っていた…
トシの「弾いているほうが何倍も楽しい」
その言葉が俺の心のドアを開けようとしていた…