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9.はじめての日(11/14) :灰と白


 殺し屋であるオレのもとに舞い込んできた、たった一人の人間の殺害依頼。
 ターゲットは、地方の少し有名な金持ちのお屋敷に住んでいるらしい。
 オレの二つ名は『殺人快楽』。仕事中に出会った人間はすべて殺してしまうことからそんなふざけたあだ名が付いた。
 つまり、オレのところに依頼がきた、ということは屋敷に住む人間はすべて殺していいはず。勝手にそう解釈し、オレは仕事を始めた。
 まずは給仕として屋敷に潜入し、一瞬の隙を狙って屋敷の主人とターゲットが飲むスープに薬を混入させる。
 そして、薬が効くまでの間に、召使の首をすべて刈って回った。
 全身に返り血を浴び、狂気じみた笑みまで浮かべて拳銃を携えているオレは、どんなふうに見えるだろう。
 そのことを思うと居ても立ってもいられず、ターゲットたちが食事をしている大広間に一気に飛び込んだ。
「!? きっ、きさま…なにを」
「あ、おじさんがここのご主人様? おじさんには一切恨みないんだけどねーごめんねー」
  パァン!
 オレを一目見てじたばたともがき始めた親父に、にっこり笑って一発の弾丸を撃ちこんでやる。
「あとはメインディッシュだけ…と」
 そうつぶやきながら視線を回したオレの視界に入ってきたのは、ありえるはずのないものだった。
「?! おまっ…なんで立ってんだよ!?」
 ターゲットと思われる男が、机に手をついて立っている。
 その前に置かれたスープは間違いなく口を付けた…どころか皿が空になっていた。
 あの薬は強力で、どんな巨漢でも最後まで飲み切る前に体がしびれてくるはずなのに。
「これ、君が作ったの…? なんか、変な味したよ?」
 そう言ってにこり微笑む様は、オレにはひどく異常にうつった。
「い、いいか!オレはお前を殺しにきたんだ!だから抵抗せずおとなしく殺されろ!」
 そう言って構えた銃の引き金を引いて…身の動き一つで避けられた。
「…は!?」
 慌ててもう一度、脇を締め、しっかりと狙いを定めて撃った弾まで避けられる。
「お、お前…お前なんなんだよ!」
 どう考えたっておかしいだろう!生身で弾丸を避けられる人間なんているはずがない!
 男はそれに答えることはなく、ただにっこりと笑うだけ。
 その後、オレは持っていた弾をすべて撃ち尽くし、仕方なく構えたナイフではもちろん勝てるはずもなく、後ろ手を取られた辺りでオレはこいつを殺すことを諦めた。
 これがオレの初めての失敗だ。