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吉葉ひろし
吉葉ひろし
novelistID. 32011
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コーヒーを青田の前に差し出した社長の爪は、綺麗にマネキュァが塗られていた。
青田は電話での打ち合わせで、社長の名前を知っていた。
北野海美。43歳。
「どうしても測量機器を新しくしたいの」
「総額2000万円のうち半分が手形ですね」
「精度の高い航空写真が必要なの」
「何とかなるでしょうが・・・」
青田は言葉を濁した。
青田の調べたところでは、MARINE海洋開発の取引先の経営内容がおもわしくないのだ。
1時間ほど青田は帳簿を見させてもらった。
「お帰りの前に札幌を御案内しますわ」
「ありがとうございます」
青田は北野が心証を良くするための接待であると感じていた。

作品名: 作家名:吉葉ひろし