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吉葉ひろし
吉葉ひろし
novelistID. 32011
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男の子と由美が餌を撒くと鳩は降りてきた。
餌の無くなった赤い袋が風に吹かれて、ころころと転がっていく。宏は追いかけた。
「今日は記念日なの」
「なんの?」
「最初に逢った日」

そうかあの日なのか
急に雨が降り出した。宏の車が通り過ぎるのを待っている少女が居た。ずぶ濡れである。
白いシャツから肌が見えるほどである。
宏は車を止めた。
「乗っていいよ」
と声をかけた。
少女は手を横に振り断った。
宏は助手席のドアを開けた。

「汚れますから」
と少女は言った。
「家まで送るよ」
「駅までお願いします」
と言いながら少女は乗った。
宏は車を出すと、少女にタオルを渡した。
「家はどこ?」
「駅でいいです」
「そんな恰好だとみんなに見られるよ」
宏が言うと、異性に言われて気がついたのか胸を窓の方へ向けた。
「家はどっち」
再び尋ねると
「k市の方です」
と答えた。
宏はその方に車を向けた。
少女は黙っていた。
作品名: 作家名:吉葉ひろし