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吉葉ひろし
吉葉ひろし
novelistID. 32011
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とにかく楽しい夕食であった。
水田が帰ると、母は宏に言った。
「あんな気立てのいい子はいないよ」
「解ってる」
宏は母に言われなくても水田は美人ではないが気にはなっていた。
由美や幸子を知らないで居れば恋人にしたいくらいの子なのだ。
たった一度の失敗が、宏と水田を結びつけてしまった。
宏は客の接待で、少し酒を飲み過ぎた。
母の部屋と水田の部屋を勘違いして、水田の部屋で寝込んでしまった。
水田は自分の布団に宏を寝かせ、自分もその隣に寝た。
宏が目を覚ました時には自分ひとりで寝ていたが、何か記憶の中には若い女が居た。
今までに何回かそんな経験をしていたので、別に気にもしないで朝を迎えた

「部屋を間違えた」
「どうして追い出さなかった」
「すぐに寝てしまったから」
「何かした」
「どうかしら」
またも水田は笑ってごまかした。
「はい。お水」
レモン水であった。
気が利きすぎだ。
「結婚しようか」
宏が水田に言うと
「最高の質問ね。o・k」
後日解ったのだが、部屋は間違えてはいなかった。
母と水田が仕組んだ罠である。

作品名: 作家名:吉葉ひろし