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せき あゆみ
せき あゆみ
novelistID. 105
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非色──いろにあらず──

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晩夏



ごらん 夜の静寂(しじま)
海の色とも
空の色ともつかぬ闇から
赤い月が昇る

友とふたり
真昼の熱の残る岸壁に立つ

この邂逅を祝おう

波は太古からのささやきをくりかえし
風は夏の終わりを告げる

ざわめきは絶え
砂は静けさを取りもどす

長い不在を埋めるかのように
ふたりは饒舌になる

この邂逅を祝おう

足下からわき上がる熱気は
真昼の太陽のなごり

いつもこの情熱を持ち続けたいと
友が言う

また いつか会おう

やがて月は輝き
別れゆくふたりの道を
白く照らし出す

手を振る
道の果てに 明日が見える