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絵画レビュー

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ユトリロ「Road at Sannois」


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 ユトリロにとって白とは何であったのだろう。漆喰とはいったい彼にとって何であったのだろう。酒におぼれ、人から疎まれ、殴られ、悪態を吐き、そんな人間にとって白は一体どんな意味を持っていたのだろう。私が思うには、白には二重の意味があったと思う。まず、すべての疎ましいものや煩わしいものや感情的紛糾を浄化するものとしての白。もう一つは何もかも跳ね返して、侵入を絶対に許さないものとしての白。白は救済であると同時に障害でもあった。
 つまり、彼は、自らを受け入れない周りの人々や自分の人生の絶対的な拒絶を切実な問題として白の中に込める必要があった。と同時に、その拒絶からの救済を求め、絶対的なものへの祈りを込めて、祈りの向かう先に完全で純癖な白が彼を救済するために必要だったのだ。ここには、自らを害するものと自らを救うものの同一化がある。自らを害するものは同時に自らを救うものであり、それが白であった。実際、彼の思うように行かない人生もある意味彼にはいとしかっただろうし、絶対的な救済も何かしら彼を拒むものがあっただろう。障害と救済という二つの契機が混ざり合う位相として「白」が必要だったのだ。

作品名:絵画レビュー 作家名:Beamte