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絵画レビュー

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アルベール・ベナール「ロジェ・ジュールダン夫人の肖像」


http://blog-imgs-23-origin.fc2.com/a/l/b/albatros2/bes04.jpg

 まず、照明を受けて、肌やドレスが黄色く輝いているのが目を引く。照明が変質させるのは人の表面だけではない。人の内面もまた、照明を受けることにより独特の精神状態へと変質させられるのだ。闇を照らす小さな照明は、人に神秘感を持たせ、孤独を感じさせ、人を思索へと導くことがある。表面の黄色は、そのような人の内的な変化をも表現しているかのようだ。
 また、照明など外的要因によって表面が変質させられたとき、我々は、その変質が、むしろ内的要因によって引き起こされたのではないかと想像することができる。人は照明によって黄色く輝かされているのではなく、むしろ自ら黄色く輝いているのだ、と想像することができる。なぜ夫人は黄色く輝かなければならなかったのか。それは隠された秘密のようなものが夜の特殊な瞬間にほろりと漏れ出てしまったことの表現なのではないだろうか。
 ドレスの下半身の部分が不釣合いに大きい。これは恐らく写実的に描いたのだろう。人間の下半身はもっとスリムなのにドレスは無意味にそこを膨らませている。ドレスのふくらみは、逆にスリムな実際の下半身を想起させ、際立たせる。

作品名:絵画レビュー 作家名:Beamte