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7章 ハリーのリベンジ



朝日の中、ハリーは鏡を覗き込んで、下手くそな口笛を吹きながら、身だしなみを整えていた。

目ぼけたような顔で隣のベッドに寝ていたロンは、仕切りカーテンを開いてそんなハリーを見付けて、大きくあくびをしながら尋ねた。
「どうしたんだ、朝っぱらから。今日はダンスパーティでもあるんだっけ?」
ふざけた問いかけに、ハリーは鏡から視線を外して、振り返って笑いかける。
「――どう、ロン?僕の格好は?」
「君の格好は……」
じろじろと見つめながら、ロンは首を傾げる。
どこも変わったところなんてない。
見慣れたホグワーツの制服に、グリフィンドールの紋章が入ったタイの金糸が光を受けて輝いているだけだ。
いつものハリーがそこにいた。

「悪くないんじゃない、いつもと同じで」と、ロンは興味なさげに肩をすくめる。
「ああ゛っ!なんだよ、そのいい加減な言い方はっ!これでも30分も早く起きて、ピシーッとさ、キッチリとさ、シャンとさせようと苦労したのに、その僕の努力に気づかないわけ?」
ハリーの片ほほが不機嫌そうに痙攣したように、ぴくぴくと動く。
手を伸ばし、ローブを広げてデモンストレーションまで始める始末だ。

「いいかい、ちゃんと視なよ。このシワない上着を!きっちりとアイロンの当たったシャツ、折り目正しいズボン!顔も念入りに洗ったし、しかも今日なんか眼鏡まで洗浄したんだぞっ!ピカピカでツヤツヤの僕のカッコイイ姿に気づかないなんて、まだ寝ぼけているんだろ、ロン!」
ハリーはプリプリ怒っていたが、そんな細かいことなどいちいち気付くはずないじゃないかと、ロンはブツブツと呟く。
……まあ確かに、ハリーたちのいるグリフィンドールはいつも、シャツのボタンを2、3個外して、タイを緩めまくったルーズな格好だったけど、だいたいこの年頃の男の子なんて、みんな少し着崩すのが主流だから、乱れていたって、見た目がだらしなくても、それが普通の格好だった。

だからどちらかというと今の目の前にいるハリーの格好は、なにもかもがぴしっとしすぎていて、アイロンの当たった服をきっちりと校則に則って着ているのが、慣れていない新入生か転校生に見えてしまい、思わず失笑しそうになるのを必死で食い止める。
笑いを封じ込めて肩を震わせながら、「はいはい」という感じで「今日の君は最高だよ」と、ロンが答えると、それを受けてハリーは、にこりと満足そうに笑う。
「えへへ」と鼻をこすりながら、しごくご機嫌な様子だ。
ハリーは自分の容姿に自信などなかったが、きっちりとした格好はきっと相手に好印象を持ってくれるかもしれないと、ほとんど恋愛経験などないとぼしい知識から、必死でひねり出した苦肉のプランだった。

まだパジャマのままのロンの側にやってくると、そっと耳打ちした。
「――ドラコが気に入ってくれるかな?」
華やいで瞳を輝かせている姿はまさしく、彼の親友は「恋」をしているからに違いなかった。
しかしあまり自分としては、とてもじゃないが応援などしたくはない相手だ。
ロンは困った顔で相手を見て、いつものように片方の口元を上に上げると、「きっとアイツも、君を見る目が変わるさ」と笑って答えた。
もちろん本気でそんなことなど思っていなくても、手ひどく振られた親友には早く元気になって欲しくて、ロンはリップサービスをする。

「早く着替えろよ!」とせっつかれて、しぶしぶロンは制服に着替えた。
寝足りない様子で大きく欠伸をしながらまぶたをこすりつつ、ハリーと連れ立って階下へ降りていった。

作品名:T&J 作家名:sabure