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せき あゆみ
せき あゆみ
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ことばの雨が降ってくる

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*ことばの雨が降ってくる*



書きたいことはあるのに、うまく言葉が見つからないっていうことがありますね。
ワタクシはそんなときも焦らず『時』を待つことにしています。

それはこんな体験があったからです。

高校3年の頃、友人が筋ジストロフィー症の中学生の書いた詩集をもってきました。

それを読んで感動したワタクシたちは、何かできないかと考えた末、自分たちの詩集を作って学校内で販売したのです。
彼女が詩を書き、ワタクシが挿し絵を描いて。

当時はコピーサービスはおろか、パソコンのパの字もない時代。
ガリ版刷りです。原紙に鉄筆でガリガリ書いて、手回しの輪転機で刷るという、わかる人にはわかる、あれです。

放課後おそくまで作業して、できあがった詩集を、二人で、朝6時ごろの電車で学校に行き、昇降口で登校してくる生徒に声をかけて売ったのですよ。
一応完売して、先生にはカンパもしていただいたりして、そのお金を、同じ県内にある筋ジストロフィー症の療養所に送ったわけです。
そのお礼に送られてきたのが、北原敏直君という中学生の書いた詩集「星への手紙」でした。

この詩集にも涙がぼろぼろでるほど感動して、まず友人がこの療養所へ慰問にいき、ついでワタクシも一緒に行きました。
そして、別の時に友人は北原君とも会いましたが、ワタクシも一緒に会いに行くと約束した「夏休みが終わったら」を待たずに、彼は亡くなってしまいました。

ところが、彼が亡くなった二日後、ワタクシはラジオから『白鳥座に新星がみつかった』というニュースが聞こえてきたのを耳にして、友人宅へすっとんでいきました。

ええ、彼が『星になって、星から星への郵便配達人になる』と詩に書いたのですから、彼の願いが叶ったんだと、思わずにいられなかったのですよ。

それで、このことをずっと童話に書きたいと思っていたのですが、なかなかことばがうかんできません。

ところが、ある日、朝ご飯の支度をしている真っ最中に、ふと書き出しの言葉が浮かんだのです。
童話を書き始めて2年くらいたった頃、描きたいと思った時から実に27〜8年の歳月が流れていました。

それから次々に言葉がでてきて……まさしくことばの雨が降ってきた瞬間でした。
“空にいる、君へ”はこうして生まれた作品です。

以前、別サイトでエッセイを発表するときも、まよわずこのタイトルにしました。

ワタクシたちが『書ける瞬間』は、まさしくことばの雨が降ってくる時だと思います。