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せき あゆみ
せき あゆみ
novelistID. 105
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ことばの雨が降ってくる

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*作品にこめた思い*



ワタクシの作品のほとんどは、子どもの頃の体験や思いがベースになっていますが、“あかいくつ”には特に思い入れがあります。

童謡の『赤い靴』に、「今では青い目になっちゃって異人さんのお国にいるんだろう」というフレーズがありますが、幼いワタクシは本当にそう思いこんで、外国には行くまいぞと心に誓った記憶が、遠い昔あったような、なかったような(笑)

だから、赤い靴は履きたいけど履かない、履けないという気持ちがありました。
ぎりぎりエンジ色の靴なら履きました。でも地味ですよね。子どもにエンジ色って(^^;)

大人になってから、その童謡のモデルになった女の子の消息について新聞に小さな記事が載ったのをみました。
それによると、女の子は外国に行くことなく、その後病気で亡くなったということでした。

ワタクシ、その子が外国に行かなかったことに、妙にほっとした気持ちになりました。

それがまず、『赤い靴』に対する一つの思いで、もう一つは友だちのことです。

小学校時代の友人の一人は、両親が離婚して祖父母と暮らしていました。その彼女とは普段は比較的仲良くしていたのですが、ちょっとしたことでよく衝突しました。

どうも、彼女はワタクシからいじわるをされていると思っていたようです。

ワタクシはいつも母の手作りの服を着ていました。
そのことが、母親のいない彼女にとっては無言のいじめのように思えたのかもしれません。

彼女の屈折した思いは、もちろんワタクシにだけ向けられていたのではありませんでしたが。

ある時、クラスの中でも目立つ女の子がブーツを買ってもらったと言って自慢げに見せました。
すると、彼女は次の日、その子に負けじと赤いブーツを持ってきたのです。

彼女はその靴を履いてアルゼンチンへ行くのだと言っていました。それにはちょっと驚きましたが。
なんでアルゼンチンなんだか……。

結局、彼女は自分の寂しい気持ちのやり場がなくて、友だちの言動にいちいち反応しては張り合ったり、被害妄想に陥っていたのでしょう。

まだ子どもだったワタクシ、そのころは彼女のことをそこまで思いやることはできませんでした。

と、少し大人になった頃、ワタクシは当時を思い返して、そう思ったのですよ。

彼女は高校生になって、お母さんと暮らせるようになったのですが、その後のことを別の友だちから聞いたところによると、「彼女ってば、お母さんの悪口ばかりいってるのよ。親にあんなに文句がでるものかしら。だったら別に暮らせばいいのに」だそうで。

……--;

まあ、とにかくその頃の思い出を元に書いた作品であり、舞台になった「別荘」の庭は、彼女と遊んだ場所でもあります。