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ルック・湊(ルク主)

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銅像



「これもお持ちください。同盟軍とトラン共和国の友好の印です。」

そう言って、レパントはテスラと呼ばれた男から何やら手鏡を受け取り、それを湊に差し出した。

「これは“瞬きの手鏡”です。トラン共和国の宝の一つです。解放戦争で使われた品ですが、今はわれらよりも、あなたに必要なものでしょう。これを使えば、あなたの仲間の元にいつでももどることが出来ます。本来の持ち主は不在ですが、これを同盟軍にお貸しします。どうぞお受け取りを。」

湊は差し出された手鏡を受け取った。

「よかったなー湊。さて、俺はせっかくトランに戻ってこれたし、しばらくここでゆっくりしようか・・・」

シーナが言いかけると、レパントがシーナの首根っこをつかんで引きずり出した。

「ちょ、っててて、何すんだよオヤジ。」
「湊殿。お願いがある。この不肖の息子も連れて行って、散々にコキ使ってやってくれぬか?」
「ちょ、ちょっと待って・・・」
「ばかもん!!修行の旅だというから、外に出したのに遊び歩いていたとは何事だ!お前も湊殿のもとで鍛え直してもらえ。それまでここに戻ってくるな!!」

結局シーナもまた同盟軍でともに戦うはめになった。
会見が終わり、帰ろうとすると、とある部屋が目に付いた。

「・・・何?ココ?」
「あー・・・オヤジが率先して作った、“英雄の間”、だ。」
「へぇ。見たい。」

湊はそう言うと部屋に入っていった。仕方なく残りの皆もついて行く。
部屋にはさまざまな書物や誰かの衣装のレプリカ、小物などが飾られており、部屋の真ん中には銅像があった。きちんと塗料までされている。
その風景に、あれ以来ここに来ていなかったルック、腐れ縁が固まる。フリード・Yは特になんとも思っていないようだ。湊はといえば、英雄であろう銅像をまじまじと見ながら言った。

「うわー・・・。僕、この戦いの中で決意した事がある。今、まさに。」
「・・・なんだ。一応聞いておこう。」

フリックが湊に言う。

「絶対勝った場合、何をするにしても後を見届ける。」
「「「「ああ・・・。」」」」

解放戦争での英雄が、戦争に勝った後すぐに出奔したのは有名な話だ。

「てゆうかこれらをレパントさんが指示したの?あの人って・・・なんかしっかりした素敵なおじさんって感じだったけど・・・。」
「シーナのオヤジさんはかなりの詩遠厨だぜ?」

ビクトールが楽しげに言った。

「ちょ、おい。人のオヤジをキモぃ変態みたいに言うな。」
「反論出来んのかよ。」
「・・・すいませんでした。」
「でも、なんかかっこいいね、えっと・・・詩遠さん、だっけ?英雄の。銅像だからほんとにこんな感じかどうか分からないけど。」
「こんな感じだよ。」

ルックが答えた。

「そうなんだ。どんな人だった?」

部屋を出ながら湊は聞いた。

「さあ、よくわからない奴だった。」
少し遠い目でルックが言った。シーナがそんなルックに向かって言う。

「またまたー。お前結構仲良かったじゃん。」
「仲が良いわけじゃない。絡まれてただけだ。」

ルックがプイ、と先に歩き出した。シーナが楽しげに湊に言う。

「あんな風に言ってるけどさ、けっこう楽しくやってたと思うぜ?」
「ふーん。そか。・・・どんな人だったの?」
「うーん、まあ一言ではいいにくい奴だったけど、色んな意味で目立つ奴だったな。顔もいいし、何より強かったし。性格はまあ、ちょっと変わった奴だったかもな。だけどすげぇなんていうの?カリスマ性?そういうんがあったな。」
「そうなんだ・・・。」
「そんな話はどうでもいいから、とっとと歩きなよ。」

ルックが戻ってきて湊の手を持って引っ張り、ため息をつきつつまた歩き出した。

「・・・ルック。・・・前のリーダーさんてやっぱすごかった?」
「知らない。ていうかどうでもいい。僕は今のリーダーで手いっぱいだ。」
「えーなんだよそれ。」

そう言いながらも、湊は頬をいつものように赤らめてニッコリと笑った。そんな湊を横目で見ながら、ルックも少しだけ口をほころばす。

「て、アツアツなんは分かったけどさー、見せつけんのもたいがいにしてね。手なんか握っちゃって、可愛い。」

シーナがそう言ったとたん、どこからか突風が吹いて軽く吹き飛ばされていた。

街に出て少しブラブラする。
色々な買い物をしたりし、あと交易所に寄った時は仲間になってくれそうな交易商、ゴードンという人と知り合った。
湊が仲間に誘うと、どのみちこの場所は息子にゆずるつもりだったし、同盟軍には交易商としても有名なシュウがいるから興味深い、との事。ただし、湊が交易だけで5万ポッチ稼いでこれたら仲間になろう、と言われていた。
今までも交易は行ってはいたようだが、まだまだ足りず、湊はムゥ、となっていた。
ちなみにトランからの帰り道、ちゃっかり湊はカスミをつれてロッカクの里を訪れ、しかも新たな仲間を増やしていた。
作品名:ルック・湊(ルク主) 作家名:かなみ