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飛鳥川 葵
飛鳥川 葵
novelistID. 31338
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心淵のほとり

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どっかん!!
 どんがらがっしゃ~ん!!


 僕の心はいつもこんな感じ。
 考え始めるといつもこんな感じ。

 なんでもかんでも考え込んでしまうのが僕の癖。
 とりとめもないコトならば別に問題はない。
 いや、まぁ、単純じゃないコトもあるわけなんだけど。

 とにかく僕は考える。

 問題は厄介なコトが起きた時。
 いつものように考えるんだけど
 それには答えが見つからないコトが多々ある。
 だから更に考える。
 そうするととんでもないコトになる。
 そいつは僕を困った所に誘(いざな)う。
 迷路ならばいいんだけど袋小路。
 にっちもさっちもいかなくなる。

 そうなると僕の考えは堂々巡りを始める。
 ずっと同じ所でグルグルしている。
 どうやっても抜け出せない。
 気付けば飽和状態。
 僕はもう動けない。
 そう、僕には考えるコトしかできないから。

 そんな訳の分からない緊張状態なんて望ましくはない。
 好ましくもない。
 だから僕は爆発してしまう。
 
 爆発して尚考え続ける。
 やめておけばいいのに。
 一人では答えが見つけられないんだから。
 でもそんな時でもいつものように冷静ではいられる。
 とはいえ必死でもがいているんだけれども。

 それを続けていくと僕の精神は破綻を来たす。
 何もできなくなる。
 気力もなくなる。
 そのくせ巨大な怒りに身を焼かれる。
 僕はこんなんじゃないんだっていうね。

 そこまで来ないと僕は人に話さない。
 話したらお終いだと考えているから。
 僕の立ち位置がそうさせる。
 僕は当てにされているから。
 本当の僕を見せられない。
 誰もそんな僕を望んではいない。
 想像するコトも不可能。
 僕の外面(そとづら)と内には大きな隔たりがあるから。

 僕が築き上げた鉄壁の外面。
 そうそう破られはしない。
 僕がボロを出さない限りね。

 少しでも見せればそのギャップにみんながこう言う。
 「お前は恐ろしい奴だ」
 僕の心は容易には見られないから。
 突然の告白にみんなが戸惑う。
 そして言うんだ。
 「何を考えているのか分からないから怖い」
 一度ボロが出た鉄壁の外面は僕を再び守ってはくれない。
 そうして何人去っていったろう。

 鉄壁の外面はそのたびに修復される。
 何もなかったかのように僕は歩く。
 もちろんみんなが知っているあの僕で。

 自分で思う。
 もしかして僕は底なし沼に張っている薄氷の上を
 それとは知らずに歩いているのかもしれない。
 それだけ危うい。
 そんな自覚も無きにしも非ず。


 さて奇妙な話になってしまったね。
 お邪魔なようだからお暇(いとま)するよ。
 ではでは。
作品名:心淵のほとり 作家名:飛鳥川 葵