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音楽レビュー

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D-SIDE『Unbroken』


 D-SIDEの曲は主に恋愛による傷の癒しを歌っている。感傷的な湿った歌が多い。外界と恋愛空間とははっきり分かたれていて、外界はとにかく自分を傷つけるもの、恋愛空間は自分の傷を癒すもの、と区別されている。確かに、愛する人との結合において自らの痛みが無化されることに人は非常な感動を覚える。自分の次に頼れるのは愛する人かもしれない。そこには、落ちていく自分を受け止めてくれる「あなた」という存在があって、その「あなた」の力を借りて自分は再び上昇していくのである。
 D-SIDEの描く世界は確かに美しい。それに合わせて曲もまた感傷的で美しい。だが、本当にそれだけなのだろうか、と思ってしまう。外界は決して自分を傷つけるだけのものではないだろうし、恋愛もまた自分を励ますだけのものでもない。外界が自分を励まし、恋愛が自分を傷つけることもあるはずである。彼らはこの単純な事実に対して目をつむっていないだろうか。もちろん、目をつむることでロマンは生まれ美は生まれるのかもしれない。だが、私としてはこんなところで音楽を閉じてもらいたくない。
 外界を愛する人とともにわたっていく、傷ついても安易に愛する人に頼らず独力で何とかする、本物の恋愛はそういうところにあるのではないだろうか。恋愛を傷を癒す道具に堕させてしまってはいけない。恋愛はもっと、世の中を渡っていく上で互いにアドヴァイスし合ったり、ときには相手を突き放したりとか、そういうところに真の姿があるはずであり、彼らの音楽に現れているのは自立していない幼稚な人間の恋愛のように思える。もちろん自立していない幼稚な恋愛であるからこそそれは理想として歌うに値するのであるし、感傷的にきわめて美しく絵になるわけであるが。音楽は理想を歌うべきか現実を歌うべきか、という問いに対して、D-SIDEは明らかに理想を歌うべき、と答えているように思える。

作品名:音楽レビュー 作家名:Beamte