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音楽レビュー

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Gentle Giant『FREE HAND』


 Gentle Giantの曲を聴いていると、電子音が次々に表情を変え、あっちへ行ったりこっちへ行ったり、ぶつぶつ呟いたり色んなことをしゃべり散らかしたり、そんなことをしているように思えてくる。彼らの曲は複雑なのだがとても愛嬌があって、仕草や眼差しを多様に散らかしていく。歌われている内容は割と哲学的だったり倫理的であったりして、この愛嬌のある電子音とかみ合わないかのようにも思えるが、実は哲学や倫理を駆動する論理こそ愛嬌に満ちているのではないだろうか。
 彼らの曲はとても言語に似ている。言語の多彩な在り方と論理的なつくり、そしてそれが空間を土台として成り立っていること。論理は実は、我々の根底を流れる持続的時間とは次元を異にするものだ。それは我々の生のありかたからある程度遊離したところに空間化されており、それでありながら我々の時間に水と油のように干渉してくる。彼らの曲は、論理が持続へと干渉する時に発する違和をユーモアとして掬い出しているかのように思える。
 つまり、Gentle Giantは、論理や倫理の空間的な構造が我々の持続的時間に干渉するときのユーモアを愛嬌のある電子的音楽で表現しているのではないだろうか。音楽は我々の根底を流れる時間をまねることをせず、むしろ積極的に空間化されていく。だが、音楽はそのユーモア、つまり関心を引く性質により、時間と空間の齟齬を辛うじて架橋しているのではないだろうか。彼らの音楽は、論理や倫理がユーモラスに我々の生の時間から乖離していることを示すと同時に、それでも論理や倫理はユーモラスに我々の興味を引き、我々の生の時間に干渉してくることを表しているように思える。

作品名:音楽レビュー 作家名:Beamte