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音楽レビュー

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THE OFFSPRING『ignition』


 THE OFFSPRINGは乾いていてかつ挑発的な音作りをしている。それは彼らの世界観が、人間に対する懐疑に彩られているからだろう。人との温かい触れ合いを維持するのではなくて、人間の真実を見据えるために通俗的な価値観に疑義を唱え、それを聴き手に伝えていくという彼らの姿勢が反映されているのだ。
 音楽は原則的に非対称的なものである。ミュージシャンが能動的に発信し、オーディエンスが受動的に受け取る。だが、彼らはこの非対称性を崩して、送り手と受け手との対称性をより多く生み出しているように思われる。彼らの音楽は内向的に突き刺さっていくものなので、他者に向けられたメッセージでも彼ら自身に同時に向けられているし、彼ら自身の内省であっても同時に他者にも向けられているのだ。そして大事なのが挑発の姿勢である。彼らが音楽を演奏するとき、興奮しているのは彼らだけではない。聴き手もまたそのメッセージによって内省に迫られ、その新たな認識を自らに化合させることにより自らを活性化させる。
 通俗的な美しい仮象をひっぺがして本当の姿を追求する、それはパンクの精神であろう。THE OFFSPRINGは社会的なメッセージを発信しないが、人間の在り方というものもそもそも社会的・倫理的なものであるから、パンクが次第に社会的な問題を直接扱わなくなったからと言ってそれが一概に後退であると断言することはできない。むしろ、社会の欺瞞は同時に人間の欺瞞であるし、人間の欺瞞は同時に社会の欺瞞でもあるのだ。

作品名:音楽レビュー 作家名:Beamte