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音楽レビュー

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P-MODEL『IN A MODEL ROOM』


 P-MODELの音楽から見て取れる態度は、まずは偏狭な「俺」中心の世界からも、また「僕と君」による対のエゴイズムの世界からも脱却している態度だ。そこには三人称の世界、つまり社会がだいぶ場所を占めている。だからといって、彼らが社会的存在になろうとした、あるいは社会を内面化しようとした、そういうわけでもない。社会に参入するのも社会から逃げるのも、どちらも社会に価値を見出したうえでのその人の反応である。社会の巨大な価値に魅了されるか、それを拒絶するかの違いに過ぎない。
 ところが、彼らの音楽に見て取れる立場は、社会を俯瞰しながらも、その社会の価値を冷ややかに眺めているだけで、それを背負うことも、そこから逃げることもしないという立場だ。つまり、社会の価値を知りながらもそれを意図的に無視することで、このような浮薄で無責任な音楽が成立するのである。
 だが、彼らは、社会の価値を背負わず、また社会から逃走もしないからといって、社会を冷ややかに眺めることに新たな価値を見出しているわけでもない。それは結局社会に価値を見出すことと同じことをやっているに過ぎないからだ。彼らは自分たちのやっていることも背負わず、自分たちのやっていることに対しても冷ややかだ。それが、どこか音楽を突き放したような軽妙さに表れているだろう。

作品名:音楽レビュー 作家名:Beamte