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ふうギャル日記♪~ユキの物語~

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風俗の世界に入って早いもので10年以上の歳月が過ぎた・・・

若いころは実家がわりと裕福だったことで学生時代からあんまり将来のことなど考えたこともなかった・・・
もうすぐ30歳になろうかって時に実家が商売に失敗し、大きな借金を抱えることになり私自身の人生も大きく変わることになる・・・

仕事も大学をでて少しだけサラリーマンというものを経験して当然のように家業を継ぎ、大きな借金を抱えるまでは本当に必死なって仕事を頑張ったことなんてたぶんなかったような気がする。

これといって手に職もなく、駅前で貰った求人情報誌の中の『月収30万!未経験者大歓迎!!』という記事は
あてもなく職を探して繁華街を歩いていた私の目にかなりのインパクトと与えた。

正直、腰掛けのつもりだった・・・
いい仕事が見つかるまで・・・自分にもそう言い聞かせながら働きはじめた。
妻や子供、両親、友達の誰にも話せなかった。

まぁこんな私も、初めて風俗の世界に入ってから長い下積みを経験し、今では独立を果たして自分の店の女の子と話しているとふと過去に出会ったきた女の子の事を思い出すことがよくある。

印象に残っている女の子はたくさんいてどの子のことから書こうか結構、迷ってしまいますがゆっくり書いていきましょう・・・


今から5年前の…夏前くらい。
私がホテルヘルスの店長になって2年ほどたった頃・・・

一人の女の子から求人誌を見て面接の応募があったんやけど、
店にきたその女の子と会った瞬間、俺の頭の中には「お断り」という言葉しか浮かんでなかった…。

面接しないわけにいかないんで俺は形式的な話しをすることにしたんやけど、その子は名前をユキ(仮名)といい、業界全くの未経験の25歳だった。
今は介護の仕事をしているという。

俺の悪い癖なのか良い癖なのか面接で女の子と色んな話しをしてしまう。

聞くと、彼女には今、500万近い借金があること。心臓病で入院しているお祖母さんしか家族がいないということ。
その借金が全部お祖母さんの入院費用と手術代でできたものだということ。
住んでいるマンションの家賃を3ヶ月滞納しているということ。
つまり、彼女はかなり切迫した状態であるということを俺は知ることになった。

初めは断るつもりであったはずなのに途中で「なんとかならんかなぁ」って気持ちになっていたが彼女の容姿を見て悩んでいる自分がいるのである。

モノマネ番組にでる、面白おかしく研ナオコを表現したようにエラの張った輪郭に離れた目。
まだ研ナオコのように目がパッチリしていればいいけど彼女の目は糸のように細い。
極めつけは明石家さんまのような出っ歯…。
胸も小さい、服装も地味。とてもお客様を楽しませれるとは思えない。

風俗店の面接にくる未経験女の子は裸にさえなれば簡単に普通の仕事よりは稼げると思っている子が意外と多い。

ハッキリ言って大きな誤解である。

頭の中で悩んでいる俺に決定的な一言が彼女の口からはっせられた…

「あ、あの私、処女なんです…」

その一言を聞いて俺は「断る」ことに決めた。
正直、稼がせる自信はないし、パチンコ店でコーヒー売りでもしたほうが稼げる!
そう彼女を説得しはじめた…

30分ほど掛かって彼女を説得はするものの、とうとう彼女の熱意にほだされ採用の為の講習をすることになった…。
たまたま、店舗がバタバタと忙しかった為、系列店の仲のいい店長に講習を頼んだのだが、講習を終えて戻ってきた系列店の店長の話は予想どおりに厳しいもんだった…。

①ガチガチに緊張しすぎて会話はほとんどない。
②ラブホテルは初めて
③講習に入っても、緊張で全く濡れない。
④処女の為、指入れされると非常に痛がる。
⑤フェラは非常に下手で出っ歯の為、前歯があたる。

結果としては絶望的であった…

初日こそ「新人ブログ」で3人のお客様がつき、36,800円持って帰らせることができたが三日目からは1人付けるのがやっとで、当然、手取りも一万円を切っていった…。

この業界で店舗責任者としてもっとも恥とされるボウズ(関東ではお茶引き)を出さないというのを女の子との信頼関係の1つとして考えていた自分にとってまさに綱渡り的なものとなり、採用したことに後悔していた。

ところが入店して10日たったある日、出勤時間になっても姿を表さない彼女が気になり、どうしたものかと連絡を入れても繋がらない。
留守番を残しても返事がない…。
それから2、3日連絡を取り続けたが、一切の返事は無かった。

「飛び?!」

自分の頭にそう解釈させ、彼女を採用したことに心を痛めたと同時に「ホッ」とする自分がいた・・・

それから10日後、遅い昼食を近所の中華料理店で取っていた自分の携帯に彼女から電話が入った…

「頑張るので、もう一度働かせてもらいたい。」というものであった。

正直、彼女が飛んでくれた事にホッと胸を撫で下ろしていただけに、彼女の復帰には、なかなか自分自身踏ん切りがつかなかったので
「今、食事中なんで後で電話するから。」という私の言葉に「今、近くまで来てます」という彼女の言葉。

店舗に戻ると、すでに彼女は裏口でしょんぼりと立って自分の帰って来るのを待っていた。

ジーンズにグレーのパーカーの中に赤のチェックのシャツ。黒のリュックを背負って、真っ黒の癖っ気のあるショートボブの髪型。化粧っ気の全くない顔…初めてユキに会った時より今のほうが気持ちが重い…

わざと明るく「ユキ、どないしてたんや?」自分の発した言葉に彼女は振り向くなり、ポロポロと涙を流した…。

その表情を見た瞬間、何も言えなくなり、そのまま彼女の背中に手をまわして事務所に2人で戻った。

店舗の奥にある小部屋で彼女の話しを聞く事にした。彼女は涙を拭きながら店に来なくなった理由を話し始めた。
店の女の子に教えてもらった2ちゃんねるに自分の悪口が大量に書かれていたことや、お客様がなかなか付かない彼女を彼女の了承のもと系列店の箱ヘルに応援にいかせた時、お客様に顔の事をなじられ泣いてしまった事。
店に来れなくなった最大の原因はお客様に店の質が落ちたと言われたことだった。
「自分がいたら店の質が下がってひょっとしたらお客さんが減ってまうかもしれへん…そしたら頑張ってる他の女の子に迷惑かけてしまう思って…でも、もうここしか…ここしか頑張れるところがないし・・・」
自分自身が情けなくなった…
彼女が来なくなったことに対して胸を撫で下ろしてた自分にホッとしていたことに・・・

店舗の責任者としての自分に情けなさが込み上げてきた。
この子は店の事を思って…他の女の子の事を思って、誰よりも切迫した状態であるにもかかわらず…
「ユキ、大丈夫や。また1から頑張ればええんやから・・・ありがとうユキ」泣きじゃくる彼女の頭を撫でていた。「ごめんなさい…ごめんなさい…」彼女は泣きながら謝っていた。

「謝るのはユキやない…俺や」そう思った。

ユキが戻った所で状況はかわらず、相変わらず待機の時間が多く、手取りも1日1万円あるかないかの日々が続いていた。