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漢字一文字の旅  第一巻(第1編より第18編)

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八の一  【紫】


【紫】、この字の「糸」の上の部は、ちぐはぐに並ぶことを意味する。そのためか、バラバラの赤と青を混ぜ、染めた糸の色。
それが【紫】。

そして万葉の時代から紫草(ムラサキ)の根は【紫】染めの原料。また解熱、解毒の漢方薬として重宝された。
それは多年草で、初夏から夏にかけて、白い花を 「群がって咲かせる」から 「ムラサキ」と呼ばれるようになったとか。
だが今の時代、自生地はほぼ壊滅し、幻の紫草は絶滅危惧種となっている。

そんな【紫】の薬草刈りに額田王(ぬかたのおおきみ)は出掛けた。そして、そこで前の夫を見掛け、一句詠った。
その歌こそが、現代においての万葉集一番人気。

『茜指す 紫野行き 標野(しめの)行き 野守は見ずや 君が袖振る』
そんなに袖を振らないで、今の夫の野守(前夫の兄:天智天皇)が見てるから。
それを受けて、元夫の大海人皇子(おおあまのみこ)は返歌する。

『紫の 匂へる妹(いも)を 憎くあらば 人妻ゆゑに 我恋ひめやも』
あなたはもう人妻になってしまったが、今も恋してますよと。

【紫】という字、それは万葉のロマンスなのかも知れない。しかし、これがドイツとなるとそうでもない。
【紫】根は「ボラギナーチェ」。
それに油脂の「オール」を合わせ、「ボラギノール」となる。

『ボラギノール』、確かに聞いたことがある。
そう、痔の薬。

所変われば、まったく…ちぐはぐな話しとなってしまうのだ。