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うつくしい夜に

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「月がきれいだ」


月に映える銀もきれいだね。
それ染めてんの?いーい色じゃん。
俺の色、暗いけどわかるかな。
目にも眩しい橙。派手っしょ?派手なのは好き?
ああ、こんなことやらかすくらいだからそりゃ好きだよね。

白が消えて赤が散って暗い世界にさよなら。
夜は冷たくて吐く息が目に見えて、かわりに飛び散る血は闇に紛れて見えない。
見事な奇襲。何が起こったかさえわからずにバタバタ倒れていく仲間たち。
仲間たち、ってなんか笑える響きだなあ。
そんな意識、始めからかけらもなかったもんだ。
今、鈍く倒れた、一応この船のキャプテンさん。もう元ってつけたほうがいいか。
目も当てらんないまぬけ面。
あんたのその面見るのは、ああ違った、あんたにその面させるのは何となく俺だと思ってたんだけど。
最近ぱっとしなくて退屈だったしさ。
ほぼそういう方向で人生プラン立て直してたとこだったのに。


まあ、マストから見おろすこの眺めはけっこう気に入ってたけど。
今もほら、よく見える。
赤なんだか黒なんだか、べったり広がった粘着質のカーペット。
転がる抜け殻が何ダースか。
一人立つ夜の来訪者。


ああ、怖いくらいに絵になるね。


作品名:うつくしい夜に 作家名:みりん