小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

カナダの自然に魅せられて ~憧れのカナディアン・ロッキー(2

INDEX|26ページ/28ページ|

次のページ前のページ
 

23、バンフからトロントへ



次の日の朝、早く目が覚めた。気がかりなことがあったから…。

カナダに来て5泊。あんなにどこででも出会えるよと言われていたリスにまともに出会えていないことが気がかりだったのだ。
大自然のカナディアンロッキーでは、さすがに3回出会うことができた。
雪上車の乗り場とペイトー湖の駐車場、そしてボウ湖のナムタジャロッジの前で。
一瞬、ホントに一瞬リスが走るところを見ることはできた。
でも、写真に収められるほど、じっくりではない。

『あ〜、リスが見たい!!自然の中にいるリスが見たい!』『バンフを出たら後は大きな町のトロントだから。もう見れないよ〜』
『朝、静かなときだったらいるんじゃないの!?』
などなど、早く起きて散歩したら出会えるよと天の声。
こりゃあ〜、早起きしかないな。

そして、次の日の早朝、
「私も行くわ」
と、姉も一緒に外に出た。

外は、すっきり青空。高原らしく空気は冷たくピーンと張り詰めていて爽やかだ。
「気持ちいいねえ」
ホテルから路地のほうに曲がると、民家が建っていた。どの家の前にも芝生が綺麗に手入れされていた。
芝生といい、お花といい、そういうところに気を遣うのは、やはりカナダは日本より気持ちに余裕があるんだろうな。

その芝生の上で出会ったのは、鳥だった。顔はカラスに良く似ていたが、羽の色が違った。
お腹は白。翼は綺麗なブルー、頭・背中・尻尾は黒だった。可愛い声で鳴いていた。
この鳥はあっちにもこっちにも木の上にもいた。ちょうど、日本のカラスやハトのように。

日本に帰って調べると、「カケス」という鳥だった 。カラスと同じ仲間だ。
でもカラスよりこじんまりしていて、羽の色も3色で綺麗だし、カラスとは全然違うよと言いたい。

路地から路地へ、一区画ぐるりと散歩してきた。雑木林のようなところもあったのでそんなところも探してきた。
「やっぱりおらへんね」
「あ〜あ、そろそろホテルに帰ろうか…」
などと言っていると、向こうに止まっている赤い車のタイヤのそばに何かが…。

「あ、リスだ!!」
写そうと小走り近づいていくと、チョロチョロと近くの家の地下にもぐりこんでいった。
「あ〜ぁ!!」
今度は雑木林の方からチョロチョロと走り出てきて、向かいの家の小さな倉庫の屋根に飛び乗り、そこからスルスルとその小屋の中に入っていってしまった。
そのリスが、一瞬止まったときにパシャとシャッターを下ろした。ボケボケでピントが鮮明ではないが、初めて写したリスだった。
そのリスは結構大きくて。全身茶色。お腹の部分だけ白。小さい耳はまるでネズミだった。ふんわり大きい尻尾が可愛かった。
そして、目の周りにはアイラインを引いたように白い輪がついていた。ちょうどメジロの目のようだった。
これも調べてみると、コロンビアジリスという種類みたいだ。

このリスは小屋に入って行ったし、さっき見たリスは地下の部屋にもぐっていった。
ネズミが家の中にいるのは嫌だけど、リスが部屋の中にいてもなんともないのかな?
ネズミのようにいたずらしないのかな?
壁やコードを齧ったりしないのかな?

リスと人間は共存できるんだなあと思った。リスも幸せだ。
念願のリスを写真におさめてやっと落ち着くことができた。
ボケボケの写真でも満足だった。