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キツネ目をつかまえろ

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「もっとスムーズに云わないと、クレームが来るよ」
「視聴率が下がったら、スポンサーが撤退するからな」
 幸洋は笑顔で拍手をした。
「ところで、カラオケボックスではあまり飲まなかったのに、どうして記憶が消える程酔ったのか、不思議ですね。なんだか、昨夜から不思議なことばかりです」
「あのあと居酒屋で生ビールと水割りを随分飲みましたからね」
「居酒屋?そうでしたか。そう云われると、そんなところへ行ったような……」
「川の傍の居酒屋ですよ。僕もあんなに飲んだのは久しぶりでした」
「じゃあ、そこの費用は結城さんが出してくれたんですね。割り勘ということで半分出させてください」
 早川は財布を出した。
「次のときお願いします」
「そうですか。次のときに、ですね。ところで智織さんが気になることを云ってましたね」
「急に僕が消えたという話ですね?」
「そうです。まさか、山に芝刈りに行ったとか、竜宮城でくつろいでいたとかじゃないんでしょう?」
「早川さん。あの居酒屋で僕が話したこと、全然憶えていないみたいですね」
早川は俯きながら云う。