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キツネ目をつかまえろ

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不思議な経歴



「酔った勢いで云っちゃいますが、歌より得意だったのがバイクのレースでした。昔はモトクロス界のジョーズと呼ばれていました」
結城は愉しそうに語り始めた。
「えっ?あの、オフロードのレースに出ていたんですか!」
「或るメーカーのチームでやってましたが、なぜか序盤に転ぶことが多かったんです。五周くらい遅れても諦めないで追い上げて行って、優勝したこともあるんです。後方から次々と飲み込むように追い上げるので、ジョーズのようだと云われてました」
「そうなんですか。凄い人なんですね!あの場合、コースを何周まわるんですか?」
「僕は国際A級で、セニアの二百五十ccのレースが多かったんですが、レースは三十分プラス一周という形で行われていました。凹凸がひどいオフロードのコースを速く走るためには、できるだけ頂上から頂上へジャンプしながら進んで行きます」
「そういうコースでも、最高速度は時速八十キロくらいは出すんでしょうね」
「その程度だと絶対に入賞はできません。最高で百四十キロくらいです」
結城は特に力むこともなく、さらっと云う。
「ええー?!そんなに!私の場合は平らな高速道路で、百四十キロも出したらビビりますよ。オフロードで百四十キロなんて考えられませんね」