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世界の果てから、はじまる物語

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「しってるか?隣の中学のやつも見たって言うんだけどよ」

「なにそれ?」

「ああー、なんだっけ、真昼の流れ星?」

「そうそう」

「だからなんだよソレ」

「しらねーの?今かなり有名な都市伝説」

「真昼に流れ星を見たら、願い事が叶うとか死ぬとか霊感が身に付くとか」

「え?なにそれ、どっち?」

「よくわかんねーんだよな…いろんなうわさがあってよ」

「あたしも知ってる!隣のクラスの女子、見たとたんに訳わかんないこと言い始めて…。
いま学校休んでるって」

「なに?精神やられちゃったの?」

「たぶん霊感がついたんじゃないかって。いきなり霊感ついたから頭おかしくなったんじ
ゃね?」

「ああ、なんか事故現場いくと死体見えたり?」

「そんな感じ。あと…隣町の一年がさ。写メったとたんに死んだって」

「は、怖っ!やべぇ!」



根も葉もない噂をよくも延々と話し続けられるもんだね。

暇なの?もう中三の六月だよ?君ら進路だいじょぶ?

俺なんか見てよ、休み時間なのにめっちゃ勉強してるから。やばくね?

「なに勉強とかしてんだよネクラ野郎!」

「マジきめえ、なんで学校きてんの?」

「見てると目が腐るわ、帰れよ」

あーイジメ?イジメ(笑)?

はいはい、ほんと暇だね、俺なんかいじめて楽しいのかい?

もう好きにしなよ、相手にするのも面倒くさいし。


帰り道はもちろん一人ぼっち。誰かにカツアゲされないラッキーな日。

はやく家に帰ろ。

見上げると梅雨明けした美しい空。夏の近さを感じる。

ああ、このまま、飛べねえかな…。

そのときキラッと閃光がきらめいた。閃光は一瞬強く、そのあとは弱弱しく光りながら尾
を引いてスカイブルーの空を流れていった。

「あ!」

「え?」

後ろにふわふわの髪の毛の女の子がいた。すげー長い髪だな。

「み、見た?」

思わず聞いてみる。

「見ました、真昼の流星ですよね!」

女の子は少し興奮して、早口にまくし立てた。

制服から見て学区の違う学校、背は小さいが雰囲気は俺と同い年くらいだ。

「きゃーっどうしよ、夢がかないますね!」

「夢?」

「はい!あれを見ると三日以内に幸せになれるんです!」

ああ、誰かがそんな噂してたね…。なんとまあ乙女チックなこと。

「どうしよ、願い事なんにしよ…」

「バカ!あれ見ると死ぬんだぞ!」

「え、違いますよ!うちの中学の女子、彼氏とヨリもどしたもん!」

「うちの一年は写メって死んだ!」

女の子の顔は青ざめた。なんだか繊細っつうか心臓が弱そうな子だな。

「あれ、どこに落ちたか見つけねえと死ぬんだ」

「ええ!?」

全部でたらめだ。つまらない毎日、くだらないクラスメート、全てが嫌だった。

だから、ちょっとそんな日常を壊したかっただけだ。見知らぬ男女が出会って冒険するなんてわくわくするじゃないか。

「……嘘くさ」

「なっ、嘘じゃねえよ!」

「信じられませんもん。そんな噂きかないし、嘘ついてないって証拠ないじゃん」

女の子はぽわぽわした雰囲気をいきなりガツガツにとがらせて、俺に不信感をぶつけてくる。

「いいぜ。ついてこいよ、証拠見せてやる」

かっこつけたけど、なんにも考えてなかった。