小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
琥珀ちずる
琥珀ちずる
novelistID. 30836
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

斜め45度の目線で

INDEX|1ページ/1ページ|

 

 私は、目線を斜め上に持つ癖がある。学校帰りもそうだが、歩いているときどうして無意識に目線が斜め上を向く。そんなくせがあるからか、結構発見も多い。先日もそうだ。通学中電車に乗ったときのことである。
 私は、通路を挟んで向かい合わせになる席に座っていた。向かい側では、外国人の親子が窓の外を見てはしゃいでいる。私もそちらに少々気が向いていたが、ふと電車内のとある釣り広告に目が留まった。それは、某公共広告の会社のポスターで、淡い水色の海辺の手前には道路が走っていて、その道路の横断歩道の奥に黄色い帽子をかぶった小学生が頭を下げている写真。それをバックに縦書きで『魔法使いの小学生』という大きいタイトルと、細かい字(余りにも細かすぎて眼鏡を取り出した程だ)で文章が綴られていた。

  『魔法使いの少年

  押しボタン式の信号が赤に変わり、私はクルマを停めた。
  
  「間が悪いな・・・」
 
  その時 突然、魔法をかけられた。
 
  横断歩道を渡り終えた男の子が、こちらに向かって、ていねいに頭を下げたのだ。
 
  少年の「ありがとう」のおじぎは、私を、対向車の人を、一瞬にして笑顔に変えてしまった。』

 このネット社会だ。賛否両論は幾らでもあるだろう。(面白いことに、非難する人の中には道路交通法まで駆使してくることもある)この文章を見てどんな感想を持つかは人其々だし、私の感想を押し付けるつもりはない。それだって、結局は野暮なことなのだ。ただ、此れを見た感想は根底を見ると 『停まって貰って当然。だってルールだもん』 とみるか、または 『例えルールでも、渡らせて貰えたのだから感謝はしないと』 とみるかのどちらかだと思う。因みに私個人の意見は後者の方だ。
 理由は、自分が小学生の頃からそう教え込まれてきたと言うのもあるが、まあ、どちらもお互いに快く感じられるからというのが本当のところ。此れは停まった方が『せっかく停まってやったんだから礼ぐらい言え』という押し付けのようなものではない。ルールだから、それはしょうがないことである。でも、そんなしょうがないことを、『あー、赤になっちゃったよ。早く変わらないかな』『よっしゃ、ラッキー!こっちは渡って当然だから、挨拶せずに渡っちゃえ!』では、何だか面白くない。それに、もし此処で事故が起こっても何事も無かったかのように振舞ってしまいそうだ。
 では、此処に感謝の気持ちを入れたらどうだろう。お互いに、快く次の行動に移せる気がしてこないだろうか。此れは、私個人の意見であるので何ともいえないが、思いやりや感謝の心って持って持ちすぎるものでは無いと思うのだ。
作品名:斜め45度の目線で 作家名:琥珀ちずる