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朝霧 玖美
朝霧 玖美
novelistID. 29631
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「初めての遠出」

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カーテン越しに窓から朝日が差し込んできた
その明るさで目覚めた2人は顔を見合わせて、
どちらからともなく唇を寄せる
初めて二人で越した夜の時間
ずっと夢見ていた、あなたの腕の中で目覚める朝の時間
これは夢じゃないのね・・・・

九十九折りの山道を彼のお気に入りの4WDで駆け上がってきた
車の中で流れているのは大好きなビリー・ジョエル
急カーブ事に身体が触れ合うのがうれしい
山道を上りきると湖も見える
そして、そこには彼が予約した貸別荘がある
1泊2日だけの楽園
もうすぐ3時のお茶の時間だから丸2日も時間はないかな

二人の大好きなふもとのケーキ屋で買ってきたチーズケーキ
そして私の大好きなピーチティーもあなたの大好きなコーヒーも準備してきた
夕暮れは二人で湖の畔を散歩する
丸ごと二人だけの時間

そして二人だけの夜
初めての、そしてたぶん最後の夜
あなたを独り占めできる機会なんて、これからもう無いと思うから
だから今夜はとても大事な時間
一緒に夜を迎える・・そして朝を迎える
ずっと心の奥で思い続けていた夢 それが叶う


今晩は私の得意なオムライスと野菜スープ、サラダ
オムライスの上には、ケチャップで愛のメッセージを書いてあげる
だから残さず全部食べてね

それから夜空の見えるお風呂・・
一緒に入って星座を探そう
そして名も知らぬ星に二人だけで名前を付けようか
でも・・・・のぼせる前に出なくちゃね 

電灯を消してランプに火を灯し、ワインを飲みながら
チーズケーキを食べよう
口に入れてあげるから、あ~んと開けてね

そんなことを車の中で話ながら、ここまでやってきた
荷物を部屋に運んだと思ったら、あなたは私を次の荷物代わりに抱えてベッドに放り投げた
そして次に上から降ってきたのはあなただった

すべてを放り出して始まった二人だけの時間




作品名:「初めての遠出」 作家名:朝霧 玖美