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アフタヌーンティ

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 ふぅ……

 私はソファーに身体を沈めた。
 吉原さんはシンジくんにミルクを飲ませてる。

 シンジくんは生後三ヶ月の赤ちゃん。
 ぷよぷよしててかわいいの。

 吉原さんの奥さんは、私のママと気分転換に出掛けてる。
 週に二日は育児を交代してくれる優しい旦那さんだとママが言ってた。私のお父さんはどうだったんだろ?

 吉原さんは、私の両親と昔からの知り合いで、私が小学生の頃はたまに家に来ては一緒に晩御飯なんかを食べてた。
 正直、どこか冷めた感じのある吉原さんのことを、あまり好きじゃなかった。
 だけど、吉原さんが結婚して、子供が生れて、少しずつ私の誤解だったことがわかってきた。

 私って、つくづく人を見る目が無いと思う。


 最近、学校の帰りに吉原さんの家に寄ることが多くなった。
 だって、自分の家よりも居心地が良いんだもの。

 吉原さんの奥さんは、彩さんといって、親身に私の相談に乗ってくれるいい人だ。
 昔、英国に留学していたことがあるらしくて、とても綺麗な英語を話す。あまりに綺麗(な言葉)なんで、思わず聞き惚れてしまった。

 気が付くと、『私に英語を教えて欲しい』と頼み込んでいた。
 彩さんは、初めのうちは『恥かしい』と言ってあまり乗り気じゃなかったけれど、やっているうちに楽しくなったのか、初日の最後のほうには、身振り手振りを交えた英語になって、私の方が引き気味になってしまった。
 それから半年ぐらい経って、『私も多少は話せるようになってきたのでは?』と、ちょっとだけ自惚れ屋さんになってきてる。
 
 彩さんが話す英語は『Briticism(英国語法)』といって、私達が学校で勉強しているアメリカ英語とは違うらしい。
 実際に、教科書の英文を朗読していたら『発音が違う』と注意されてしまった。ある意味正しいのに、正しくない。英語って奥が深いものなのね。

 昨日の続きを教えてもらおうと思っていたんだけど、今日はママとの先約があって、買い物に行ってしまっていた。
「多分、夜まで帰ってこないだろう」
 そう言った吉原さんは、ちょっとだけ申し訳なさそうだった。

作品名:アフタヌーンティ 作家名:村崎右近