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アフタヌーンティ

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 今日は日曜日だ。
 娘は吉原の家に行っている。吉原の奥さんに英語を教えてもらっているらしい。
 そのおかげで私の英語の発音もずいぶんと流暢になった。
 もともとは、日常会話ならばなんとかこなせる程度の英語力だったのだが、その日常会話を娘がすべて英語で受け答えをするものだから、嫌でも覚えてしまう。
 私と妻が北京語で会話していたときに『日本人なら日本語で話して!』と激怒していた一年前の姿を見せてやりたいものだ。


 ともかく、妻も娘の様子がおかしいことには気付いていて、どうにかしなければと思っていたところだったらしい。
 学校で何か問題が起きたとした場合、去年警察沙汰になった件もあり、すぐに連絡があるはずだ。

 恋の悩み、失恋またはその逆の場合、携帯電話の通話料に何らかの変化があるはず。
 友達の恋の問題であったにしても、相談しあったりするだろうから、通話料が少しは高くなるはずだ。
 しかし、携帯電話の使用料に大きな変化はなかった。

 ―― では、何なのだろう?

 結局、私達は答えを見つける事ができなかった。


「ただいまー」娘が帰ってきた。
「おぉ、おかえり」

 自分でも笑いが込み上げるぐらいに不自然だった。
 つくづく演技が下手だと思う。
 開発部の連中はそれはいい事だと口をそろえるが、それでどれだけ苦労したか考えたこともないのだろう。
 リビングまで入って来た娘は、私を見てもう一度『ただいま』と言った。
「おかえり」私は娘の視線を受け止める。
「毎日毎日、ずいぶん熱心に通ってるよな」
 娘はどこか曇りのある微笑みを浮かべ、私の心配を読み取ったかのように口を開いた。
「私ね、もっとがんばらなきゃだめだって思ったの。このままじゃいけないって。変わらなきゃって」

作品名:アフタヌーンティ 作家名:村崎右近