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キジン×ヘンジン×サツジン

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見直しをしましょう


 彼女と、彼女が殺した人々の遺体は、事件初日から数えて三日目の昼に、警察に引き渡された。
 僕らがいつになっても帰って来ないため、心配した友人、家族らが連絡したらしい。
 全員が一度警察署に連れて行かれることになり、その場で別れることとなった。
 もう既に大半の人は館を去り、残すところは僕と、夢埜さんの二人だけだ。
 隣に立った彼女が、思い出したかのように口を開いた。
「……あなた、最悪ね」
 一瞬の沈黙。
「なぜ、そう思うんですか……?」
「言うまでもないでしょう? 彼女の目的は、『芸術』のただ一点のみ。だったら、自分すら作品へと変える、あの結果が待っていることくらい、簡単に予測がつくはずよ。なのに、あなたはあえてそれをしなかった。それはそうよね? だって、それをするためにわざわざこんな手の込んだことをしたんだもの」
 飽きたように、呆れたように、諦めたように、彼女は言葉を紡ぐ。
「――たまたま奇人や変人が集まり、たまたまそこで殺人が起きた。そんなこと、普通はありえないわ。じゃあ、この状況を作り出した人がいるのよ。そう、この館に殺人を起こしかねず、殺害されかねない人を集めたのはあなたでしょう?」
「なぜ、僕がそんなことを?」
 笑みを浮かべたまま、僕は夢埜さんに問う。
「だからさっきも言ったじゃない。あなたは、殺人犯を自殺に追い込むため、もっと言えば、

『殺人犯を合法的に殺すため』に、

こんな舞台を用意したのでしょう? 残念ながら証拠はないけれど、私は絶対にあなたのことを信用しないし、嫌悪するわ。それが、あなたに対する私からのささやかな報復。どう、辛いかしら?」
 澄ました表情で、冷ややかな蔑視をこちらへと向ける。
 僕はゆっくりと口を開いて、
「すごく、辛いです。辛いはずのことを、辛いと感じられないことが、本当に、辛いよ」
「そう。じゃあ、それが私から与えることのできる、唯一の罰。一生、背負いなさい」
 彼女は厳しく言い切り、足を踏み出した。
 そして、館を立ち去り、残った僕も、少ししてから、立ち去った。