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郷田三郎(G3)
郷田三郎(G3)
novelistID. 29622
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神々と悪魔の宴 ⑪<悪魔の契約>

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「次は、お金でございますか?」
 悪魔は楽しそうに微笑んだ。
「いや、女がまだだよ。飛びっきりの美人の恋人が、そうだな十人は欲しい」
「美女が十人!? それはまた――。でもまあ良いでしょう」
「あ、待って。出てきた瞬間にボクを取り合ってケンカになったりしては困る。そんな事の無いように、性格の良い人を頼むよ」
 ボクが要求を上乗せすると、悪魔は少し困った顔で苦笑いを浮かべた。
「そうですか、それは残念。いきなり痴情のもつれとかで殺し合いをさせたら楽しいと思ったのですがね」
 悪魔が、ではどうぞ、と返した掌を見せると、いきなりボクは後ろから抱きつかれた。柔らかい感触と甘い香りに振り返ると、ボクが贔屓にしているアイドルや外国の映画で見たことのある女優に良く似た美人が十人、狭い部屋の中で魅惑的な微笑を浮かべていた。しかもその服装たるや――、まあ言葉には出来ないくらい刺激的だったワケだ。

 そして、最後に金だ。
「さて次はいよいよお金ですね」
 そう言った悪魔はやけに嬉しそうな顔をして話しを続けた。
「よく皆様方がご希望されるのが“一生掛かっても使い切れない程の金とか財宝”なんですが、私思いますに“使い切れない”というのは無駄なんじゃないかという気がするのですが如何でしょうか? 人間にはやはり程々というものがありますので、使い切れる程度のハッキリした金額を言って頂いた方がよろしいかと……」
 窺うようにボクを見る悪魔を見てボクは思ったんだ。ははん、これはきっと言われると困る事を言わせないようにしているんだな、と。そしてボクはキッパリと言ってやった。
「一生掛かっても使い切れない程の金をくれ」
 その時のボクの顔を他人が見たらきっと勝ち誇ったような笑いを浮かべていたことだろう。ボクは何しろ永遠の命を得たのだから、それでも一生使い切れないなんて、何てエキサイティングな願いなんだってね。
 すると悪魔は「そんな事で良いのですか?」と言いながらポケットからひとつのコインを出した。