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クレイジィ ライフ

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身体が反転し、ベッドに縫い付けられるように押さえこまれる。強打した身体が痛みで悲鳴を上げるが、そのほとんどをカイナは感じていなかった。
「一体、おまえはなにをしようとしているんだ。おまえはそっちの人間じゃないだろう」
目の前の青年が自分とは性的趣向が違うのは明白だった。だからこそ、行動理由が不明だった。両腕を押さえこまれた身体の上で、透は優しく触れはじめた。唇が頬に落ちた。触れるだけのキスが鼻先、額、眉先に落されていく。手はゆっくりと傷口に触れ、労わるように撫でていく。カイナの唇が戦慄く。
「なんで」
泣きそうな声が喉から毀れた。
同情だとしてもあまりも優しい手当てだった。胸を満たす憤りや劣等感が溶けるように萎えていくのを感じる。触れる手の感触が気持ちいい。目を閉じて感受したいほど、抵抗を忘れてしまうほど、良かった。耐え切れず喉奥から悦楽の声が漏れる。身体に触れていた手が、あやすように顎を、頭を撫で始めた。
「やめろ、やめて」
抵抗するも元から傷んだ身体はいうことを聞かない。いつの間にか自由になっていた手で相手の胸を押すも、逆にその手を摑まれ、触れるだけのキスが落とされる。ただそれだけのことで身体が震え、胸奥から言い知れぬ感情が溢れそうになる。自分の中にある矜持、外壁。作り上げてきたものがドロリと溶けるように、意味をなさなくなる。痛みのない、気持ちのいいだけの愛撫に本能的な恐怖が湧き上がる。
「やめてほしかったら」
鼓膜が震えるような位置で囁きかけられる。髪を撫でる温かい手。
「このまま眠れ」
逃げることもできずに、緩やかな愛撫を受けながらカイナは静かに知る。
今までこんな風に、打算なしで人に触れられたことなど一度もなかったことを。
それを知ると僅かな抵抗を残していた身体から力が抜けた。弛緩した身体を、柔らかく抱擁された。温かい何かが頬を滑ったような気がした。それが何なのか、知るのも恐れるように、カイナの意識はするりと闇の中に落ちて行った。
作品名:クレイジィ ライフ 作家名:ヨル