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クレイジィ ライフ

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「大丈夫なんですか」
「え」

しとしとと雨が降り続いている。
森林に囲まれた古びた社内には、か細い蝋燭の灯りが点されていた。
僅かな光源の先に浮かび上がった青白い髪。
柔らかな表情を湛えた女性がこちらを見つめている。

「以前遭った、通り魔さんです。そのあと遭遇などしていませんか」
蒼色の瞳が僅かな憂いを帯びていた。その瞳は美しいと思う。そして悩める姿が本当に似合うと思う。青年は微かには笑む。歪んでいるなと、自覚はしている。

「悪そうな顔で笑っていますね、透」
「そんなことはないよ、アヤ」

古びた社には雨の音がよく響いた。雨に濡れた木と土の香りが辺りに立ち込め、底冷えするような冷気が漂っている。透は着物を着た細い肩を抱く。
「寒くないか、アヤ」
「平気です」
花が綻ぶような笑顔に、透は胸中が焼かれるような心地がした。
灯りに照らされ、白く浮かび上がった頬に触れる。ひやりとして、手になじむ触り心地。
「アヤ」
名を呼ぶと、白い肌に僅かな朱が差した。至近距離から覗き込んだ瞳は淡く濡れていた。強い衝動が胸を覆うのを押さえきれず、透は口づけた。


作品名:クレイジィ ライフ 作家名:ヨル