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郷田三郎(G3)
郷田三郎(G3)
novelistID. 29622
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神々と悪魔の宴 ②<神の微笑、悪魔の涙>

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神々と悪魔の宴 ②

<神の微笑、悪魔の涙>

 神は半透明の姿を民人の崇《あが》める偶像の上空に浮揚させ、神々しい輝きを放っていた。
 そして、
『汝忘れるべからず、全ての快楽や贅沢を遠ざけよ、神の標す道に従い歩むのだ』
 そう告げるや神の手から光の粒子が四散し民人の頭上に降り注いだ。
 民人の中には静かに涙を流すもの、感激に打ち震える者、なかには失神してしまう者までもが居た。

 おそらく今ここに居る全ての者はこれからの人生において、神を信じ、神を敬い、神に全てを捧げ、神の標す道を歩いて行くに違いない。
 たとえそれがどんなに厳しい茨の道であっても、信じる拠り処を持っている者達には幸福の道であるのだ。

 人々に啓示を与え、一仕事を終えた神は、くたびれ果てて民人を見下ろせる雲の上に寝転がっていた。
『おい神よ、お前又人間供を苦しいろくでもない生活に追い込んだのか?』
 と悪魔が来たりてのたもうた。
 目の前の視界を塞《ふさ》がれた神は悪魔を見上げて言い返す。
『愚か者め!貴様ら悪魔には解るまいが、人間はああする事によって、拠り所を得て生きる力が湧いてくるものなのだ。
 此処にはおまえ達がつけいるような隙は無い。さっさと立ち去るが良い』
 下界を見下ろすと、額に汗を流し懸命に畑を耕す者、重い荷物を担いで往来を行き来する者、熱い炎の前で流れる汗を拭いもせず鋼を打ち続ける者など民人達が貧しいながらも一生懸命に生きている姿が見えた。

 そしてその辛い仕事に打ち込む姿からは、命の迸りにも似た、輝くエナジーが溢れ出て、天で微笑み見つめる神のもとへ舞い上がって来る。