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古都・純情物語 4 (13~14章)

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第13章


日曜日の朝、瑛子は隣接する市立病院の病室に居た。

日曜日に看護実習はない。

しかし、今日の瑛子は何か熱中して体を動かしたかった。

この前泰子に聞かされた、優一と雅美のことを、

ずっと気にしていたからだ・・

瑛子は雅美に嫉妬している自分が嫌だった・・

雅美の気持は痛いほど分かっている・・

雅美の人柄も嫌いじゃない・・

だけど、優一と雅美が「撚りを戻す」と聞いて、

瑛子は雅美に深い嫉妬を感じずにはいられなかった・・

瑛子は自分を「醜い」と感じた・・

祝福してあげるべきなのに・・・

後から来た自分は遠慮すべきなのだ・・

そう思った・・

頭では分かっていても、心が苦しかった・・

そんな思いは、何か他の事に

集中しないと、ずっと瑛子の頭の中を

占領している・・


「雑用でも何でもします。勉強させて下さい!」

消化器病棟の婦長に頼み、許可された。

消化器病棟は、普段も瑛子が実習で訪れる。

言葉を交わす患者も何人かいた。

川田悦子40歳もその一人だった。

彼女は末期の胃がん患者だ。

ここ6か月、入退院を繰り返している。

抗癌治療の為、長かった黒髪は抜け、

いつも赤いバンダナを頭に巻いていた。


悦子には3人の子供がいる。

中学2年の男の子を頭に小5の女の子、小3の男の子だ。

夫は営業職のサラリーマン、家族は亀岡市に住んでいる。

日曜日ごとに夫は下の二人を連れて見舞いにやって来た。

上の男の子は1,2度見たきりで、その後はついて来なかった。


「川田さん、おはよう御座います♪(^-^)検温しましょか♪」

「いやあ~、瑛子ちゃん、今日は休みとちゃうの?(#^.^#)」

悦子はベッドから半身を起こし、病室に入って来た瑛子を迎えた。

「うふふ♪ 今日は川田さんの顔、見に来たんよ♪(^_-)-☆」

「あははは、瑛子ちゃん、アンタ、だんだん口がウマなってきたな?

 あははは♪(*^。^*)」

「今日も京子ちゃんと信也君、お見舞いに来るんやろ?」

「うん♪(#^.^#)昨日の夜、亀岡に電話したら昼から来る言うてたわ♪」

「ふ~ん、よかったね♪・・・・・・・・・・・・・」

悦子の体温を測る間、瑛子は病室から窓の外を観た。

秋はすっかり深まり、病院の敷地内の木々は赤や黄色に紅葉し、

早いものは枯れ落ち葉となって、ハラハラと舞っていた・・

「瑛子ちゃん、・・・・今日はエライ、曇ってるなぁ・・・」

「・・うん、・・・天気、もひとつやねぇ・・・・・・・」

「瑛子ちゃん、天気と違う。

 曇ってるのは、アンタの気持ち・・・・」

「え?・・・・・・・・・」

瑛子は悦子を振り返った・・

「瑛子ちゃん、アンタ、好きな人ができたんとちゃう?(^0_0^)」

「え?(@_@;)・・・・・川田さん・・・・・(・_・;)」

「隠しても分かる♪瑛子ちゃんとは長い付き合いやもん♪

この前から、アンタの顔が変わって来たなあと、思ってたんや♪(^。^)y

この子、恋してるなぁと♪(*^^)vここんとこ急に綺麗になったもん♪

どや、彼氏と喧嘩でもしたん?」

「・・・・・・まだ、彼氏やない・・・・・喧嘩なんて・・・

それ以前の問題やわ((+_+))・・・・・    」

「なんや、まだ付合ってないんか?それで瑛子ちゃん、告白したんか?」

「(/_;)・・・・・うううん、・・・・」

力なく、瑛子は顔を左右に振った・・・

「告白してアカンかっても元々や♪(^0_0^)人生、長いようで・・・短いで♪

後で後悔しても遅いよ・・・

な?私が言うたら、説得力在るやろ?(^_-)-☆ 」


(川田さん、告知受けてないはずやのに・・(+_+)・・・)


「瑛子ちゃん、こっちおいで♪」

悦子は瑛子を手招きして、ベッドの隣の椅子にかけさせた。

「あんな、瑛子ちゃん、私、アンタが初めて実習でここに来

てくれた時からいっぺんに好きになってん♪

あ!これも告白の一種やなぁ♪(#^.^#)あははは♪

私、不器用やけど、陰日向なく一生懸命やるアンタの姿に

中学卒業して大阪の繊維工場に就職した頃の

自分に重ねてしもてなぁ♪(^0_0^)・・

私は和歌山の山奥から出て来た田舎モンやから、

近所から通ってる同僚とは中々そりが合わんでなぁ・・

ようぶつかったァ・・・・(#^.^#)・・

そやから、細かいことでも、一言も聞き洩らさんように

一生懸命頑張ってるアンタのこと、応援したくなったんや♪

なあ、瑛子ちゃん、男にとっても女にとっても、

ホンマの出会いは、一生の内、数えるくらいしかないんよ・・・


そやから、これや!と思った人には、例え女の方からでも

ドンドンこっちから行きよし!(*^^)v

おばちゃん、瑛子ちゃんのこと、何時も応援してるよ♪(^_-)-☆」

「川田さん・・・・・(#^.^#)ありがとう♪」

瑛子の顔に笑みが戻った♪





その時、病室の入り口で人の気配が・・

「あ、瑛子ちゃん、やっと見つけた♪(#^.^#)」

昨日、宇治の実家に外泊(と云う事になってる?)した

はずの泰子が立っていた・・

「・・・・・(-。-)y-゜゜゜瑛子ちゃん・・・・・ちょっと・・・」

部屋には入らず、泰子は手招きした。



「コレ、・・・・・林君から・・・・・(ーー゛)・・」

泰子は瑛子の掌に1通の封筒を手渡した・・・・








第14章


瑛子は短大近くの【喫茶・忘れな草】に居た。

泰子から渡されたメモに『2時に何時もの喫茶店で待ってる』と記されていたからだ。

(…なんやろ?…(゜゜;))

今の瑛子は、優一に会いたくもあり、会いたくは無かった…


けれど、川田悦子に云われた直後でもあり、この際自分の気持ちに決着をつける為にも

此処に来ていた。


丁度2時に、店の駐車場に白いブルーバードが停まる・・

瑛子の胸は高鳴った。

自分の鼓動がはっきり聞こえた。

外で車のドアが閉まる音…

時間をおいて店の木の分厚いドアが開き、同時にドアに付いたカウベルが鳴る…

アディダスの見慣れたウィンドブレーカーの優一が入って来た♪

『よっ♪(*^^*)・・・』

『あっ♪・・・・こんにちわ♪\(^-^*)』

優一はブレンドを、瑛子はココアを注文した。


      『…』

      『…』

飲み物が来るまで沈黙が続く…

飲み物が来て、互いに一口すすり、

カップを離した瑛子が言った。



『あの…私にお話って…何?(*^^*)』

『…えっ?僕が?…σ(^_^;)?…

大井さんが【忘れな草】で瑛子ちゃんが待ってる

からって電話貰ったから…

えっ!違うの?(゜゜;)』

『私も泰子ちゃんから【林君から】ってメモ貰って…』



『あっ!もしかして…?(-_-;)・・』

『・・・もしかして?・・あ!(・_・;)・・・』


二人の脳裏に

大井泰子の高笑いが聞こえた・・・



  (^。^)y-.。o○オ~ホッツホッツ♪ ウマイコトヤリヤ、オフタリサン♪