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郷田三郎(G3)
郷田三郎(G3)
novelistID. 29622
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らくがき

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みかんを巡る考察



昼飯のあと
みかんを食べた
近頃はあまり見ない
小ぶりなみかんだ
それを皮ごと四つに割る
爽やかな香りが辺りに散らばる
分けた一つを皮から剥がし
幾房かをまとめて口に放り込こむ
口の中に酸っぱさと甘さが拡がった
そこで私は考えた
近頃のみかんには種がない
不用意に咬むとがりりとなる
あいつらに久しく会っていない
本来ならばその種を運ばせる為の果実だろ
運ぶ者を呼び寄せるための香りだろ
幾度も足を運ばせるための甘さだろう
いつからお前達はそうなった
目的を奪われ
偽りの契りをむすび
ただひたすらに
香りと甘さをたくわえさせられる
そして搾取されるのだ
我々はその命の尊厳さえも踏みにじり
搾取するために育ててゆくのだ
そうして三つ目を噛みしめたとき
がりりと抵抗する一粒があった
ああ
お前達はやはり生きているのだな
吐きだした一粒の種を
机の一角にそおっと置いた

<みかんを巡る考察>2012.1.25

作品名:らくがき 作家名:郷田三郎(G3)