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一之瀬 優斗
一之瀬 優斗
novelistID. 28513
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ロボット

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僕の『なか』には でっかい機械があって

がががん がががんて大きな音を出しながら 毎日毎日動いてて

僕はいつもその音を耳の奥に聞いて よたよたと生きてる

ああむかつくむかつくむかつく

小さい 沢山の呟きを 機械は噛み砕く

吐き出された痛みはひらひらと踊る 僕のなかを踊る

ちっとも楽しくなんかないけど

『笑え』のスイッチを押して 綺麗に笑ってみせる



僕の『なか』はごみだめだ

足の踏み場もないそこに ねっころがる

僕はこれでいい

そっと呟いてみた

指先がぴくりと揺れた

僕はこれでいい

また呟いてみた

今度は 泣いてた

つるりつるりとこめかみを伝って 僕の『本当』は 僕の周りに池を造った

池の底で、君が呼んでくれている気がした

このまま沈んでしまいたい

夢見心地な僕は やがてがくんと引き戻される

窮屈で無機質な現実が 穏やかに佇んでいる



がががんがががん

また機械が動き出す

僕は『僕』を機械の中につっこんで砕いた

粉々になった『僕』をじっと眺めた

これでいい

ちゃんと微笑う事が出来れば

僕はきっと『シアワセ』になれる



君はキレイな形の唇に蔑みを浮かべて 僕を見つめてる

闇色をしたその瞳

紡ごうとした言葉は 喉の奥に転がり落ちた

君はただ 冴え冴えと美しかった

酷く暴れるこの鼓動は ニセモノなんだろうか

君を恋しく思うこの心臓は ニセモノなんだろうか



ぶざまな僕 よごれた僕

リセットボタンはいつだって 汗ばんだこの手の中に握られてるのに

本当はゲームオーバーのはずなのに

僕は『今』にしがみついている

かっこわるい



機械は動き続ける

僕の痛みがひらひらと舞う

君に恋焦がれて 両手一杯の涙を捧げて

いつだって微笑んでみせるから

僕の『本当』は君であるのだと どうか信じさせて
作品名:ロボット 作家名:一之瀬 優斗