赤いマントと青い鳥
悪いことばかりじゃない
「それじゃあ次の問題を…鬼道」
「は、はい…ええ、と」
「鬼道さん、鬼道さん」
佐久間が小さく指を動かして『35』。空中に書く。
「こ…答えは、35です」
「正解だ」
教室に溢れる賛辞。教師の満足そうな声。すまない、と声を出さずに伝えれば、いえいえ。
「俺は鬼道さんの、参謀ですから」
完璧と謳われた帝国の鬼道有人の始まりは、種を明かせば、こういうことなのだ。
そのうち俺なんて要らなくなっちゃうんでしょうね。佐久間のその言葉の通り、俺は努力をした。父さんの期待に、総帥の求めに、応えるために。そしてどこかでは、自分のために。支えてくれる皆のために。
いつしか佐久間と共に作り上げた『帝国の鬼道有人』は、像を成して現実のものになった。