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天才飯田橋博士の発明

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3 心霊写真撮影装置



神楽坂舞子が出社すると、博士は机に設計図を広げたまま、宙をにらんでいた。

飯田橋博士は、前回の発明である【見た目得点表示装置】の結果がショックであった。心血注いで作った装置。失敗ではないとは思うものの、自分への評価をみると失敗作であって欲しい。いや、あれはたまたまだろうなどと眠れぬ日々を過ごした。あの装置は神田川に放り捨ててしまったのだった。


「博士、やはりあの【見た目得点表示装置】は失敗作ですよ」と舞子が話しかけると、「ああ、そうだな。いくら何でも私がオール1だなんて」と博士はやっといつもの変人的研究者の顔にもどった。

「え、オール1ぃ?、ああ、そうね。私は2をあげてもいいけど」と舞子はにやにや笑いながらコーヒーをいれた。

コーヒーを飲みながら、博士はうんうんと頷いて、目は宙を睨んでいる。何かひらめいたようだ。舞子は慣れているが、やはり他人からみれば評価1だろうなあと思った。

工房に入った博士は、いつものように研究開発に没頭した。


数日経って、博士は「出来たぞ~」と叫びながら工房を出て来た。

「あら、博士、今回はずいぶん早いですね」と舞子は博士の手にしているものをみた。

「博士、これってデジカメじゃありません?」

「ま、今回は予算が無かったからな。貴重な部品を捨ててしまったしなあ。でも外観はデジカメを借りたが、中身は違う。名付けて【簡易心霊写真撮影装置】。いや、また悪いがその辺で写真を撮ってきてくれ。シャッターを半押しするとレイレイと音がする。その時にシャッターを押すのだ。あ、人物写真はダメなんだ、このカメラは、人物以外のところを撮ってくれ」

舞子は言われるままに外に出て、公園やお堀の写真を撮った。レイレイと鳴るのは木が生い茂った所とか、土手や石垣などであった。もちろん柳の木でもレイレイと鳴った」

「こんなに鳴るとは?」舞子は、こんなに霊がうようよしているのかと思って寒気がしてきた。そして飯田橋発明研究所に戻った。


博士がプリントした写真をみて舞子は、背筋が凍る……ことは無かった。博士が◯で囲んだ所にあるものは3つの点、いわゆる目が二つと口といったもので、顔と思えばそう見えるものばかりだった。

それは木や草に当たる光の濃淡や偶然の結果であろう。甘くみれば心霊写真に見えないこともない。

「神楽坂君、ほらこれなんか最高だよ。これをどっかに応募して、うまく行けば賞金が入るよ」






作品名:天才飯田橋博士の発明 作家名:伊達梁川