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職業天使。  1st love「とある少年の恋」

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羽の生えた男。



「むー…」

その窓の外で、小さく溜め息をつく人影があった。

地面から足は離れ…つまり浮いていて、おかしな事に宙で足を組んで座っている。

見た目はそこらのサラリーマンと変わりなく黒のスーツで。

ただ違うのは、その背中にいわゆる…『羽』が生えていて。

スーツという格好を除けばその容姿は完全に天使というやつだ。

誰がどこから見ても怪しいことこの上ない状況で、教室の中の生徒は彼に全く気が付いていない。

その様子を見ると男は組んでいた足を解いて羽を一度羽ばたかせ、窓から離れていく。

「ここにもいない、か…」

なにやら悩ましげな表情で呟いた後、そのまま近くの商店街のど真ん中を飛んで見回るように首を動かす。

しかし歩いていく人々は全くその姿に気付かない。

「っかしなー…」

しばらく飛びつつけて、商店街の丁度終わりに差しかかったとき。

今一瞬通り過ぎた少年が、こちらを向いていたような気がしてならなかった。

確認のためもう一度振り向くと、やはりこちらを見て目を見開いている。

刹那、男の顔が少しだけほころぶ。

やや嬉しそうに羽を羽ばたかせ少年に近づくと、柔らかい笑顔を向けて、

「やあ、こんにちは。恋する若人さん」

至極さわやかに挨拶をしたのはいいものの、当の少年はわなわなと口を震わして身動きもしない。

男はやっぱりか、と呟くと、少年の耳元に唇を寄せ、唱えるように囁く。

「『天使はいつもあなたの傍にいますよ』」

その瞬間、少年がはっとしたように首を振った。

そして第一声が、

「お化けだああああああああああああああああ!!!!!」