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みっふー♪
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ヅラ子とベス子のSM(すこし・ミステリー)劇場

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《付録》突発あるあるしょーとすとーりー・彼らのはうすきーぴんぐ



銀ちゃんが年相応に一泊人間ドックに行ったので代わりのお母さんが呼んでないのに勝手に家に来ました。あたらしいお母さんは意気揚々と夏場に暑苦しいロンゲで白い着ぐるみを連れています。
「――私はお母さんではないぞ、」
ニセお母さんが言いました。――エッヘン、偽りのお母さんはいよいよ鬱陶しく仁王立ちに胸を張りました。
「私のことは“ダディ”と呼びたまえ!」
「……。」
――いまさら1635かよ! どんだけー(←コレも大概)、私とぱっつんは心の中で激しく突っ込みました。が、いちいち構ってチョーシ乗らせるのは面倒くさいので決して口には出しません。ただ思いっきり歪めた顔面に出して不平を訴えました。無論無神経な継母はちょっとも気付きません。これも想定内です。
「そろそろ夕飯時だな」
エア高級デムパ腕時計をチラ見する素振りでまがい物のお母さんが言いました。
「……、」
――ちっちっち、うそっこお母さんが真顔で指を振りました。
「だからお母さんじゃない、ダディだって言ってるだろ、」
「……。」
空気は読まないくせに断りもなく人の心をズケズケ土足で立ち読むなんざとんだ俗物ニュー○イプ野郎め、私とぱっつん師匠は憤りました。――氏んでもダディなんて呼んでやるものか、二人の胸中に反骨精神がむくむくと頭をもたげてきましたが、だからってヅラごときに命懸けて抵抗するのも馬鹿らしいので、渋々ですがヤツの提案を受け入れることにしました。――せーのっ、
「――○ルス、」
私と師匠はしっかと手を重ね、華麗なるユニゾンで破滅の言葉を奏でました。
「目が、目がァァアァッ!!!」
ロンゲを掻きむしってダディが身悶えました。一通りお約束ギャグをかましたところで、何事もなかったようにダディが言いました。
「……では食事に行くぞ、」
「ハイ、」「うんアル、」
こうしてすっかり打ち解けたダディ(と着ぐるみ)と私たちは揃って外へ出て、適当な定食屋に入りました。注文した料理がテーブルに運ばれ、――いっただっきまぁーーーっす!!! 私がさっそくひと口丸呑みしたあとになってダディが言いました。
「俺の食事のやり方は基本的に三通りさ、」
それはつまりこういうことでした。

1 誰かにタカる
2 むせんいんしょく
3 食い逃げ

「2と3一緒じゃねぇかァァァァ!!!!!」
使命感に燃えた突っ込みスキルを如何なく発揮したぱっつんが青筋立てて立ち上がり、がしゃんとテーブルを叩きました。
「?」
まるで不本意だという顔色にダディが返しました。
「何を言うんだ、さりげなく店を出るか躊躇なく店を飛び出すか、この差は大きいぞ」
――それにな、いちお出世払いということで店側にはそれとなくツケを申し込んであるんだ、哀しいことにいまいちそれが認知されていないだけで、
ダディの了見に従えば己に何ら恥ずべきところはない、度量の狭い世間が悪い、と言わんばかりです。
「……。」
ぱっつん師匠は黙りました。私は出された食事をもくもくと胃に収め続けました。……あっ、そういやサダちゃんお家に置いて来ちゃった、サダちゃんの分も持って帰ってあげないと! 追加注文を入れたらぱっつんのこめかみがビキビキいいました。
「……っとにもー、」
食事を終えて、文句言いながらもぱっつんが財布を出してきて、トレカ用に積み立てていた分を泣く泣く崩して支払いをしてくれたので、私たちはギリ犯罪者にならなくてすみました。
それから、ほぼすっからかんの財布を握り締めて生気を失っているぱっつんを引き摺ってお家に帰りました。
お家に帰るとダディが言いました。
「天気予報によるとどうやら今夜から雨模様だ。洗濯物があったら表に干しておきなさい」
「ほぇ?」
私と、お水を飲んで少し血の気が戻ったぱっつんは首を傾げました。ダディは腕組みしたまま言いました。
「なんだ、キミたちは洗濯のやり方も知らないのか?」
ったくアイツはどーゆー教育してるんだ、ダディがやれやれと肩を竦めました。
「……いいか、いま外に干しておけば自動で雨が洗ってくれるだろ? それを雨が上がって、天気が良くなって、乾いたベストタイミングで取り込む」
――イッツパーフェクトウオッシュ、ダディは大真面目でした。
「……。」
ぱっつんが恐る恐る口を開きました。
「あのー、それじゃせっかくなんで掃除の仕方も教えてもらっていいですか?」
「ああいいともさ、」
ダディは上機嫌に応じました。
「そうだな、俺の場合はこうだな、そろそろ部屋が汚れてきたかなーっと思ったら、1 気にしない、2 無視、3 ひたすらガマンする」
「……。」
ぱっつんは拳を握ってふるふるわなわなしていました。――結果ゴミ屋敷じゃねぇかーーーーっっっ!!! おそらくは突っ込みたくてたまらなかったに違いありません。しかし、それはもはや意味のないことでした。私が諭すまでもなく、彼にもわかっていたのでしょう。が、ここでダディの物語は思わぬ方向へ転がり始めたのです。
「……でな、ガマンしてガマンしてガマンしてるだろ? するとな、ある日突然おそうじの小人さんがやってきて、知らない間に部屋をピッカピカにしてくれるんだ、」
「……。」
私とぱっつん師匠はダディの横にいる着ぐるみにちらと目をやりました。視線を感じた着ぐるみは『しっ知らないよっ』さっとプラカードを出して顔を隠しました。……おそらく、件の食い逃げの支払いも洗濯も日頃彼がフォロ―しているのでしょう、着ぐるみの気苦労など露知らず、得意満面のダディの表情には曇りひとつありませんでした。三十路間近のいい年こいて、おそうじのボランティア小人さんの存在をガチで疑いなく信じているらしいのでした。
こうしてダディは、私たちに無駄な疲労感と金銭的負担(これは主にぱっつん)だけを与え、翌朝天気予報やや外れのドン曇りの重たい湿気の中をロンゲをなびかせて去って行きました。
「……。」
何たることだ、どうやら自分たちが日々暮らしていた相手はとんだ変人に見えて案外常識人だったらしい、私とぱっつんの受けた衝撃たるや、……だがしかし、俯き加減の眼鏡を押さえてぱっつん師匠が言いました。
「いや、いくらなんでも比べる相手が悪すぎるよ、」
――あの人だけを判断基準にするのどうかと思うよ、
「……、」
なるほど師匠の意見に私も同意したので、この際アラサー男子の家事について比較対象の取材に出てみることにしました。
まず私たちが訪れたのは例の屯所の前でした。将来の義理の弟(予定は未定)の頼みとあって、ゴリラ局長さんは快く迎えてくれました。……んでまー途中すんげぇ端折るけど、結果わかったことは次の通りでした。

1 武士なので食事は出されたものをとにかく文句言わずに食べる。
「うまい!」(はっはっは★)
「……これって何の罰ゲームですか?」
「食材の元の色と形が一コもわかんないアル……」
2 武士なので汚れてよーがどーしようがこまけぇことはいいんだよ! とにかく一張羅を着倒す。
「どーぶつえんの毛皮……」
3 武士なので心頭滅却すればどんな悪環境も気にならない。
「あ、バナナの皮」