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結城 あづさ
結城 あづさ
novelistID. 10814
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ARTIEICIALLY~第1号~

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第四章



部屋に2人だけ残されて静かになった。琴音がどうやって少年と話そうかあわあわと考えていると、少年がいきなり「ありがとう」と、決して心から思ってるとは思えない言い方だか言ってきた。琴音は驚いて少年の顔を見ると、少年は少し怒ったような顔をしている。琴音は「どういたしまして」と笑顔で言った。つくりものではない笑顔で。
「私、東條 琴音って言うの。あなたは?」
「俺は…」
少年はそういって困った顔をした。黙り込んでしまった少年に琴音は優しく「どうしたの?」と聞いた。そして少年は諦めたように「俺には名前がない」とさっきまでより少し低い声で言った。
「じゃぁ…私が名付け親になろうか?」
琴音は良いことを思いついた子どものように顔をキラキラと輝かせた。少年は呆れたような顔をしていたが、琴音の顔をみてため息をつくと「あんまり気に入らないと名乗ってやらねぇからな」と頼んだ。

琴音はあれからずっと少年の名前を考えている。あれこれ1時間はかるく過ぎただろう。少年は飽きてしまってもう一眠りと寝てしまった。
「あ!」
琴音はついに考えついた。その顔は達成感に満ち溢れている。そしてちょうどいいタイミングに、少年も起きた。
「あの…レオって言うのは?」
「嫌だ」
即答した。悲しそうな顔をする琴音。今にも泣き出しそうだ。
「…由来は?」
「私が昔飼ってた犬の名前!」
「却下」
また即答だった。だいたいこんなに時間をかけて考えついた名前が昔飼ってた犬の名前っていうのもどうかと思う。琴音はぶつくさと「いい名前なのになぁ…」と呟きながら、新しい名前を考えはじめた。少年はため息をついて後ろを向いてしまった琴音の肩をつかみ、自分の方を向かせた。
「俺の名前はレオンだ。いいか?」
少年・レオンがそういうと琴音は一気に表情が変わった。
「ちゃっかり"レオ"が入ってるよ」
琴音がニヤニヤとした声で言った。するとレオンは琴音にデコピンをした。そのまま少し2人は見つめあったが、レオンはまたベッドに寝転んだ。そして(お前が泣きそうな顔したからだろが)と小さな声で心の中でつぶやいた。

~二巻に続く~