二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

Our Song

INDEX|23ページ/38ページ|

次のページ前のページ
 

「……でもオレだって傷ついてないわけじゃない」



 七組の出し物がどうして「占いの館っぽいもの」と濁した言い方をしていたのか、当日になってわかった。というかメインは多分こっちなのだ。きっと占いはカモフラージュに過ぎない。占いをするのは女子二人だけと聞いていたから自分の仕事なんてないと思っていたのに、水谷は混雑した校内を彷徨いながら必死に人を探している。
 ようやく三年生の教室でいかにもモテてますという感じの先輩を見つけ、事情を話し、携帯で写真を撮らせてもらった。今まで頼んだ人の中で一番写真慣れしていた。自分がカメラを向けられたとしたらあんな余裕のある表情はできない。水谷は腰を九十度曲げて礼を言い、逃げるように教室を出た。
 人の波から外れたところでメールを打つ。とはいっても転送されてきたメールアドレスへさっき撮った写真を添付し、送信するという、ボタンにして二つ三つ押すだけの機械的な作業だった。水谷は送り先のメールアドレスが誰のものなのか全く知らない。エンジェルとかフラワーとかいう英単語が入っているから、おそらく女子だとは予想がつくけれど、依頼主を知っているのは受付をした七組女子だけだろう。
 ポップコーン販売よりえげつない商売だ。次の生徒会書記を探している間にまたメールが着信し、中を見てみると、やはり見慣れない男子生徒の名前といかにも女子っぽいメールアドレスだけが書いてあった。
 七組の本当の出し物は、貴方のかわりに好きな人の写真を撮ってメールで送ります、もちろん秘密厳守。というものだった。こんなサービスを考えついて商売にするほうもおかしいけれど、依頼する人もおかしいと思う。しかし水谷の予想に反してこのサービスは好評なようで、一人終わったらまた一人と、さっきから切れ間なく指示メールが届く。
 何もわざわざ小銭を出して他人にお願いしなくても、本人が「撮らせてください」って言えば済む問題なんじゃないだろうか。それか友達の友達にでも頼んだほうが絶対楽だ。
 最初のうちは水谷もそう思っていたが、何回か依頼をこなすうち、だんだんと需要がわかってきた。気になる人へ直接写真撮らせてと言ってしまうのは、きっと告白するくらい勇気が要る。もし拒否されてしまったらダメージがでかい。友達の繋がりで頼むのも、第三者に知られてしまうという点でリスクが高い。それよりだったら赤の他人が事務的に処理してくれるほうを選ぶのだろう。
 現に水谷は色んな人の写真を撮っているけれど、依頼主に対して何の興味も湧いてこない。これはただの作業だった。
 でも「あなたのことを好きな人がいて、その人へ送るために写メ撮らせてください」と説明すると、大抵の男子が「ええっ、オレ?」と照れくさそうにするのには、水谷もこのサービスはアリかもなあと思ってしまうのだった。だって幸せそうだし。

作品名:Our Song 作家名:さはら