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「山」 にまつわる小品集 その弐

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新田次郎作品と私  (感想)


 学生の頃に熱中していた小説家は、安倍公房、井上靖、遠藤周作、司馬遼太郎らである。
 時代物、特に戦乱を描いた物語が好きで、司馬遼太郎は人物を魅力的に仕上げ、描写も丁寧でよく調べ上げていた。

 そんな時に出会ったのが新田次郎の『武田信玄』。井上靖の『風林火山』とは比べるべくもないほどに信玄の人となり、および周辺の女性たちをいきいきと描いているのに、全く惹きつけられてしまった。
 新田次郎は長野県諏訪市で生まれ育っているので、特に信玄の側室と勝頼に思い入れがあったのだと思う。

 私が登山を始めるきっかけになったのが『アラスカ物語』である。イヌイット(エスキモー)の父といわれる宮城県石巻市出身のフランク安田を取材し描いた話であるが、アラスカの自然の厳しさとオーロラの美しさ、そこで自然と共に生きる人々の生き様に共感したのである。
 アラスカへ行ってオーロラを見たい。自分の力でその場に立ちたい。それには冬山の心得がいるだろう、と思い山岳会に入った。

 新田次郎は実在の人物や出来事も多く題材に取り上げている。
 なぜ山に登るのか、と問い続ける『孤高の人』は加藤文太郎。
 高校生の時に八ヶ岳で遭難して両足を失った、そして一流クライマーとなった芳野満彦を描いた『栄光の岸壁』。
 アルプスの三大北壁を登攀し、ヒマラヤ遠征などで活躍した今井通子(御存命)を描いた『銀嶺の人』。
などを夢中になって読んだ。そして夢中になってクライミングに取り組んだ。