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古代からの遺産

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 南アメリカ大陸の太平洋岸には、7カ国、7500キロメートルの長さにわたるアンデス山脈が連なっている。
 その中ほどペルー共和国にインカ帝国の遺跡、マチュピチュという空中都市がある。標高2057メートル、東西が断崖となっており、40段の段々畑が3000段の階段で繋がっている。
 1440年ごろに、これより高い標高の山から花崗岩を切り出して運んで建てた『太陽の神殿』があり、東側の窓から差し込む太陽光によって夏至・冬至を知り、暦を作り出していたと推測されている。


 マチュピチュなどの遺跡で観光ガイドをしているリカルド・モラレス・ガマラは、太陽の神殿の中の地の下から聞きなれない音を耳にした。
 そうしてマチュピチュの研究第一人者である、アメリカ・ジョージア州コロンバス大学教授で、考古学者のウォレン・シュミットが率いる一団が現地調査に当たった。手持ちのコンパスは、磁針がぶれて止まらない状態であることから、地質学者のボリー・イノウエも急遽加わった。

 太陽の神殿の地下は数日間にわたって慎重に掘削されていった。その間も時々異常音は発せられた。
 地面より5メートル下に、2メートル四方の空洞が発見された。その入り口は煉瓦造りのような板でふさがれ、取っ手が付いていた。その板を動かすと空洞が現れたのである。また、板の裏には明瞭に刻まれた絵文字のプレートが固定されていた。その絵文字を写真に撮り、解読の専門家に送った。
 一方調査団はロープを固定し、ヘッドランプを照らして下へ降りていった。

 100メートル近く下りた所の中央部に機械のようなものが置かれ、それが稼働して大きな唸り音を出している、ということが分かった。その周辺には拳大の石や土くれが散乱しており、先年のチリ大地震によって崩壊したものが機械に当たり、衝撃となって作動を始めたのだろう、と推測された。
 機械とその周辺、部屋の中や壁を丹念に調べ回ったが、機械については何も分からない。分析しないと分からないが、金属ではなく、土を焼いた煉瓦のような物で出来ている。

 いつ、だれが、何の目的で、何をするために?

 コンパスは完全に壊れてしまった。そして1時間経過した頃には、ズキンズキンとする頭痛が始まった。
作品名:古代からの遺産 作家名:健忘真実