小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

ワールドエンドクリムゾン-5 ベジュと消えた神子の場合

INDEX|1ページ/1ページ|

 
「なぁ、この国に戻ってくるの久しぶりだろ? 感想とかあるん?」
沈まぬ太陽の国と呼ばれるヘルナドから二人の旅人がフィレチアに来ていた。
「・・・。」
フードを目深に被った小柄な人物は何も言わず俯いていた。
「もうちょっと元気出したらいいよ。俺も、出来る限り力になるからさ。」
出会ったときの様にとベジュはフードの人物に笑いかける。
北の軍事大国と南に豊かな海と穀倉地帯を保有する大国ヘルナド、それらに挟まれるようにフィレチア公国は存在する。小さな国だが文化レベルは高くなにより教会の本山はこの国の首都にある。ヘルナド王家の第三王位継承者であるベジュはお忍びの旅と称してフードの人物と二人でこの国を訪れていた。
「わかっている・・。お前が力になってくれているのは・・感謝する。」
フードをとり素顔をさらせば、栗色の髪を短く切りそろえた男の子の顔が現れる。
「また口調堅いなぁ。まぁいいよ。絶対取り戻そうね。お前の弟を。」
二人の出会いは偶然だった。以前にもこの国を訪れふらふらとしていた時に少年・ルチアを拾った。彼の正体を知りつつ、彼の目的のためにベジュは彼を匿うことにした。
それが三年前、三年の間ヘルナドの自分の屋敷に匿って外の知識など色々と教えた。もう一度この国に来たいと彼の願いを叶えるためにベジュはルチアと共に、彼の片割れがいるフィレチアを訪れる。
「口調は、癖だから仕方がない。あぁ、アンリは取り戻す。絶対に。」
三年前に一人の神子が姿を消した。その情報は秘密裏に処理された。神子は相変わらず健在で、消えた神子の存在は闇に葬られた。双子の片割れが神子として表舞台に出されたことを知ってもなお、ルチアはすぐにこの国に戻らず機会をうかがっていた。
そして時は満ちた。己の目的を果たし、弟を取り戻すために、光の神子は再びこの国に戻ってきた。