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みっふー♪
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かぐたん&ぱっつんのやみなべ★よろず帳

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(せつめい口調)やぁどうもみなさんはじめまして、ボクは混沌のこのご時世に傾きかけた道場の跡取り息子と期待され、おぎゃあと生まれてきてはみたものの、どーにもこーにも親代わりの姉上に頭とうだつの上がらない、若干ふぁざこんこじらせ気味のヲタっ子メガネ少年さっ☆(すちゃ!)
そんな冴えないボクだけど、ある日突然トートツにまるでドラマみたいな恋に萌え萌え★身もココロも焦がしちゃったんだ。
そんなこんなで夢のよーな時間は過ぎて、今じゃりっぱな一児のちちおや……?

雨戸が引かれたままの室内には埃と湿り気を帯びた空気が籠っていた。破れた板の隙間を縫って差し込む一条の光が、周囲の暗さを一層浮き立たせる。
「……あンのダメガネおっさん野郎! ぱっつんにメガネ仕込むだけ仕込んどいてあっさりバックレやがってよ!」
――今度会ったらギッタンギッタンのすこんぶシート状にのしてやるッ!
固めた拳をわななかせる少女を制し、
「……やめてくれよ、」
身を起こした布団の上で大人びた仕草に少年は言った。
「かぐらちゃんの口からあの人の悪口なんか聞きたくない、……それに、」
少年は前髪に覗く裸眼の目元をすっと細めた。
「あの人はメガネじゃない、グラサンおじさんだよ」(にっこり☆)
「ぱっつん……!」
少女は息を飲み、少年の伏せた横顔を見つめた。来ぬ人を待って伸びすぎた黒髪が、なだらかな額を覆ってさらさらと零れ落ちる。少年は抱き締めた産着の中のもの言わぬ無機物に愛おしそうに頬擦りした。
「見てよこのメガネ、僕に似てかわいいだろ? それでいて笑うとちょっぴり、あの人の面影もあるんだ……」(ウフフ☆)(←ビョーキ)
(ううう)「――ぱっつんっ……!!」
恋とはかくもヒトを変えてしまうものなのか、寒慄の虚妄に寄る辺なく身を浸すその姿があまりに痛々しくて、少女は少年のやつれた薄い肩から目を逸らした。

+++


ぱっつんは恋をしている、……いや、かつてしていたと言った方が正しいのか、傍目にはとっくに破綻していても、彼の中ではなお現在進行形なのか。
まだ恋を知らない私にはそんな彼が眩しく見えたことさえあった、ため息なんかじゃお腹はふくれない、その人を想うと胸は張り裂けそうにいっぱいになって、ふと幻聴に振り向いてみてもその人はそこに居なくて、期待したぶん会いたくてさみしくてまたため息が出ちゃう。
ぱっつんはそういう恋をしていた。私がいくらこれドーゾっ★つって気晴らしにおやつすこんぶさしいれしてみたところで、遠いお空に飛んでってしまったぱっつんのココロの隙間はどーにもならないの。だからコレは、ぜーんぶ私がおいしくいただきますっ!
「……、」
――ふぅぅ、やれやれ他人の恋って見ているだけでお腹がすくね、ねっサダちゃんっ!
「わうっ!」
――いっけなァいっ! うかつにサダちゃん刺激するとまたせつないひとりあそび始めちゃうわっ! 見てて逆にあんまりかわいそーになってくるから、あらかじめウエイト入りコルセット装着しといてあげるねっ! ううんぎゃくたいじゃないよぅ、たんじゅんかつ明快なしんせつしんなんだってば!
……でもね、サダちゃんはそんくらいじゃメゲないの。恋はまっくす★ふるぱわーなの。これまでにもういくつも決して安くはないコルセットブッちぎっておじゃんにしているの。私はひそかにサダちゃんを恋の破壊神と呼んでるわ。つまりサダちゃんは恋のでびるえんじぇる、あるいはあくましんかん、ハーゴソ、デス夕ムー了、夕゛―ク卜゛レアム?
……って私何が言いたいのか自分でもよくわかんなくなってきたアル。てゆーかァ、そもそもぱっつんのイミがわからないね、あんなグラサンおやじのドコにうっかりメタボレしょーこーぐん起こしてんだか、ちょーっと消費期限切れたすこんぶかじらせたくらいで幻覚見るなんて情っさけないっ! 見なさいヨ、私の胃袋ほらピンピンしてるのにっ! ……まぁ、同じモン食った銀ちゃんはじんましん出して隣の部屋でウンウン寝込んでるアルけどな。
まったく、ちきゅうの男どもときたら、そろいもそろって軟弱! 軟弱ゥゥ!!
よーしだったら私、この際夢見るろーてぃーん☆らしくユリに走っちゃうもんね! でもってさいきょーおねーさまの“えす”だか“つぼみちゃん”だか“ま・しぇりーらぷ・ぺ☆”(今回はおふらんす語)だかにしてもらうんだっ! ヒャッホウッ☆

+++

とゆーわけで、まずは近場で手っ取り早くアネゴのところに来てみたよっ! 玄関先で呼び鈴鳴らしてピンポーンっ!
「お・ね・ぇ・さ・まーーーっっ!!!」
アナタのこじかちゃんが来ましたよっ! さぁさぁ思う存分かわいがってやって! わくわくっ☆
「あらかぐらちゃん、」
ガラリ、戸を開けてアネゴが顔を出したよ。私は顎の下に両手を組んでうるうる熱っついまなざしでいっしんふらんにおねえさま☆を見つめたのッ。
「――あらあら、」
くすりと笑っておねえさまが言ったわ、
「かぐらちゃん、お腹空いてるのね」
――ちょっと待ってていま用意するから、
「……」
――んっ? 私は首を傾げたわ。……そーじゃないんだなー、何かしら激しく誤解を与えてしまったみたいだけど、とりあえずタダ飯なんでごちそうにありつくことにしといたわ。幸いアネゴの手料理ではなくぱっつんがまだマトモだった頃のタッパに作り置きおかずだったため事なきを得ました、ティヘッ☆
いくら宇宙さいきょーを誇る私の鋼鉄の胃袋といえど、アネゴの手料理の前にはへにゃへにゃのアルミ箔と化してしまうアルからな。すーぐ腐食して穴開いちゃうんだコレが、こっわー!!!
「足りなかったらエンリョせずに言ってね、材料はまだまだたっくさんあるから、」
にっこり笑って姉上が言った、
「ごっそーさまっした!」
私は皿の残りをかっ込むと、両手を合わせてそっこーアネゴの家を飛び出した。
「もっと食べてけばいいのにーーーっっ」
出刃包丁握ったままアネゴが往来まで追いかけてきたけど、
「もうおなかいっぱーーーーいっ!」
私はブンブン手を振って、あとはもう一目散になるたけ遠くまで振り返らずに走ったわ。
「――、」
街中に掛かる橋の上で足を止めてひといき、ここまで来れば……、っててててて、食べてすぐに運動したからポンポンいたいいたいになっちゃったよーぅ、エーンエーン、らんかんに捕まってよろよろしている私の肩を、そのときぽんと叩く手があったの。