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臨帝小ネタ集っぽいの

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宝石言葉と君と俺





「臨也さんはルビーって感じでしょうか」
「……なにが?」
仕事が終るまで待っていて、と声をかけ、超特急でタイピングをしていた手を止めて、臨也が首をかしげた。
本棚から適当な本を手にとってぺらぺらとめくっていた帝人は小さく笑って、これです、とそのページをかかげて見せる。それは、宝石を色別に解説している図鑑のようなページだった。確か雑学系の本だったな、と思い出した臨也は、へえ、と小さく頷く。
「ルビーねえ、なんか鮮やかすぎない?」
「うーん、でもその目の色は、そんな感じかと思って。他に臨也さんらしい色って難しいです。誕生石を見るとエメラルドだし、緑って臨也さんのイメージじゃないなあって」
「はは、まあ確かにね」
別に赤は嫌いじゃないが、どうしてもそのイメージなのだろうか。他にも赤い宝石はたくさんあると思うのだけれども。臨也はようやく最後の文字をタイピングして、ぐっと伸びをすると、そのまま席を立った。
「ルビーの宝石言葉を知っているかい?」
「宝石言葉?」
そんなものあるんですか?と見返す帝人に、あるんだよ、と答えて、臨也は帝人のとなりのソファに座る。軋んで少し音をたてて、意味深に帝人の耳に唇を近づける。


「情熱、愛の炎、色気」


「っぶ」
「……ちょっと、ムード無いよね君。そこで吹き出すなよ」
全く君って人は、せっかくムードをだそうかと思ったら、と臨也は不服そうにしたが、そんなふてくされる臨也にごめんなさいと謝罪しつつ、帝人はだって、と。
「あまりにも、臨也さんに似合いすぎるというか」
「……へえ、つまり君は俺を色っぽいと思ってるんだ?それは光栄だねえ、でも君の色気もなかなか捨てたもんじゃないよ?」
「え、わ、ちょっと、どさくさに紛れて……んっ」
拗ねているんだか本気なんだか分からないが、いつの間にか腰に腕を回して臨也が顔を近づけたので、仕方ないなあこの人、とあきらめの境地で帝人はキスを受け入れることにした。案外子どもっぽいなんてことは前から分かっていたけれど、帝人は臨也に似合うと思ったのは情熱の方なのだが。まあ、それを口にしたら今度はじゃあ情熱的な夜を過ごそうか!とかなりそうだったのでやめておく。
軽いキスを終えた臨也が、帝人の手元の本を奪って、ペラペラと無造作にめくった。何を探しているのかと思えば、帝人の誕生石だったようで、三月の誕生石、という単語を指でなぞって、
「君はアクアマリン?イメージ通りだね」
なんて笑う。
「あくあ、まりん?え、あれ?昔、珊瑚だって聞いたような気がするんですけど」
「三月は何種類か俗説があるよね。五月も翡翠かエメラルドって言われるけど」
「へえ」
どんな石だろうかと本を覗くと、淡い水色をしているようだ。来良の制服や、目の色の関係から、帝人を青と連想するのは理解できる。
「これにも、宝石言葉ってあるんですか?」
尋ねてみると、臨也はそうだね、と。
「沈着、聡明、勇敢……ってあたりかな。特に最初の二つは君らしい」
「勇敢、ではないですよね、僕は」
「そうかな?ある意味じゃあたってると思うけど」
それにしても色気の欠片もない言葉だね、と小さく笑った臨也に、そんなモノは求めてません!と返して、帝人は臨也の手から再び本を奪い返した。ページを閉じて、テーブルの上に置くと、そのまま臨也に向き直る。
「色気なら行動で示しますよ?仕事が終わったのなら、僕にかまってくれなくっちゃ」
ね?と少し赤くなりながら言う帝人に、臨也はひゅうと口笛を吹いた。
「ほらね、この折原臨也に文句を言えるくらいには勇敢だ」
笑って茶化しながら、帝人が反論をする前にぎゅっと抱きしめてその細い体のラインをなぞり、あっという間にお姫様抱っこで抱き上げる。「わ、」と突然抱き上げられたことに悲鳴を上げた帝人の額にキスをして、そのまま、寝室の方へ視線を投げた。
「ところでさ、君が俺に似合わないって言ってた、五月の誕生石だけど」
「……エメラルドですか?」
「自分じゃ結構、似合うと思ってるんだよね」
無言で了解をとろうとする臨也の視線に、帝人は迷った末に頷いた。まだかろうじて昼と呼べる時間帯なのに、そんな時間から寝室で戯れるなんてとても穢れている気がする。でも、せっかくかまってくれると言うのだし、だいたい二人は若い恋人同士なのであって、つまり、お互いに触れていたいお年頃なのである。
「清廉、幸福、夫婦愛」
だからね、と臨也が笑う。



「夫婦愛、育もうよ帝人君。情熱的にさ」



幸福はもう、俺の腕の中にいるからね。

作品名:臨帝小ネタ集っぽいの 作家名:夏野