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臨帝小ネタ集っぽいの

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臨也頑張る(ボツネタ)


*続きが思いつかなくてボツ


さあここが正念場だ、気合をいれろ。
らしくもないそんなことを考えて、俺は腹の底から息を吸う。歩道橋の上から見下ろしたその世界に、一点鮮やかに彩を添える青い制服に向かって。

「みーかーどぉーくーん!!」

渾身の叫びは、見事静寂の住宅街にとどろき、視界の先でびくっと肩を揺らした少年が慌てて振り返る。ああ、よかった、この距離からでも届くんだ。俺の声は君に届いたんだ。安堵の息をついて、手を大きく振り、そのまま彼に向かって走り出す。
帝人君の性格上、知り合いが走ってくるというのに無視して先を急ぐようなことはしないだろう。ましてや彼は俺のことを、嫌ってはいないはずだ。
知らず知らずのうちに全速力で走っていた歩調を、彼の表情がわかるくらいの位置に差し掛かってから緩める。とんでもなく必死な俺の心中など知るよしもなく、帝人君は困ったように笑った。
「・・・臨也さん、お願いだから僕の名前を全力で叫ばないでください」
本気で恥ずかしかったらしい。朱に染まるその頬を可愛いなあと思う。まだ口にはできないけれど。
「いやだよ、だって帝人君の名前って呼びやすいんだもの」
普段通りにおどけて答えて、それからその手をつかむ。本当なら手を繋ぎたいけど、まあ100%拒否されるだろうから、手首を掴むことで妥協した。
「暇でしょ?暇だよね?暇に決まってるよね!じゃあ俺とご飯を食べに行こう、すぐ行こうそうしよう」
「そりゃ暇ですけど・・・、っていうか、さっきこの先からすごい音が聞こえてきたんですけど、何が起きたか臨也さん、見ました?」
ぐいぐいと帝人君を引っ張る俺に、怪訝な顔を向けて、帝人君が道を振り返る。そっちは、帝人君が行こうとしていた方向、俺が阻止した方向、そしてこれから向かうのとは逆の方向だ。
「トラックが塀に激突したんだよ」
「へ?大事故じゃないですか!」
「大丈夫大丈夫、運転手も無事そうだったし。まあ塀はもうどうしようもないかもだけど。帝人君あぶなかったねー、もうちょっとで巻き込まれるところだったかもよ?」
「そんなまさか・・・ああもう、わかりましたよちゃんとついていきますから、手を離してください!」
全く仕方のない人だ!とでも言うような顔をする帝人君に、「まさか」じゃないよ、と言いたいのを押さえて、俺は自分を落ち着けるように意識して息を吸う。本当に危なかったのだけれど、それを彼に言うわけにも行かないし、ほとんど俺のせいなので、ごまかすように何が食べたい?と尋ねた。
真剣に何にしようか悩んでいる帝人君は、さっき俺が声をかけなかったら、まさにあの事故に巻き込まれて死んでいたのだけれど、そんなことは帝人君が知るべきことではなかった。
そしてそんな生命の危機が、5日連続5度目だということにも、気づかれては困る。



折原の一族と言うのは良くも悪くも変わり者ばっかりだったけれど、江戸時代中期位のとき、本気で本物のヤバイのがいたらしい。
どのくらいヤバイかって、悪魔信仰・黒魔術研究とかそういうのを趣味にしてたらしくて、どんだけ中二病!?と突っ込みを入れたいくらいだ。そいつは自分の願望のために悪魔と契約して、とんでもない力を手に入れたらしいけど、そのかわりに血族に呪いをかけられた。

曰く、7代先のさらに7代先の子孫まで、生涯愛せるのはただ一人の人間だけで、さらにその愛する人間への恋を自覚したそのときから7日間7度にわたって、その相手には死の運命が降り注ぐだろう。

何を言ってるんだかわけわかんねーよと思うだろうけどこれが事実だからその悪魔ってのも中二病まっしぐらだ。
要するに折原の人間が本気でそういう意味で愛せるのは生涯ただ一人の人間だけで、その人を逃したら後はないってこと。そしてその人への恋を自覚した次の日から1週間、毎日何かしら起こってその人が死にそうな目にあうということだ。
悪魔はご丁寧にも、前の日の夢に、次の日その人がどんな目にあって死ぬかという映像を見せてくる。折原の人間はそれをもとに、なんとかして愛する人を死の運命から、7日間7度守りきらなくちゃならない。そういうルールなのだ。
ゲームみたいなもんだ、と父親は笑ったけど、実際自分の身に降りかかってくると笑えやしない。夢の中でむごたらしく死んでいく帝人君を見るたびに恐怖と憤りと焦燥で死にそうになる。
先週の日曜日、俺は帝人君に恋をした。
それは本来どうってことない、とても普通の、本当にありふれたきっかけだった。俺にとってその瞬間まで帝人君は、これから面白く育ちそうな手駒であり、それ以外の感情など一切含まなかった。にもかかわらず。
公園で見かけたので声をかけようとした帝人君が、足元に擦り寄ってきた猫に笑いかけて、にゃーにゃー鳴いて会話なんかしている光景を見ているだけで心がほんわか暖かくなって、ああ、かわいいなあなんて思ってしまって。そして俺に気づいた帝人君がなにかいい事あったんですか?凄く優しい顔してる、なんていうもんだから、それで自覚してしまったのだ。この俺が優しい顔なんて、誰かれ構わずに向けるわけ無いだろ、なんてさ。
ともかくそうして恋心を自覚してしまった俺に、その夜襲い掛かってきたのが、この呪いだ。
1日目。
帝人君が炎の中で燃えて苦しみながら焼け死んでいく夢を見た。悲鳴を上げて飛び起きたのが午前2時。
いやな胸騒ぎに押されるようにして家を飛び出し、タクシーで駆けつけた帝人君の家で、明らかに放火と見られる不審火を発見したときは本気で凍りついた。何しろ彼の住居はボロいのだ、火なんかつけられたらあっと言う間に燃え広がってしまうだろう。
幸い、火はまだつけられたばかりのようで、なんとか消し止めることができたからいいけど。
2日目。
カツアゲだかなんだかしらないけど、複数のガラの悪い男たちにリンチにされ、ぐったりする帝人君の夢を見て最悪の気分で目が覚めたのが朝6時。
そのときようやく、折原家の呪いの存在を思い出した俺は即座に一週間の情報屋休業を決めた。波江に連絡してすぐに、夢の映像を頼りに場所を割り出し、周辺の不良どもをあらゆる手を使って駆除。それでも不安だったから、高校が終わる時間を見計らって迎えに行った。無事校門から出てきた帝人君の姿に、どれほど安堵したことか!
3日目。
電車に乗ろうとした帝人君が突き飛ばされてホームに転落、そのまま轢かれるという胸糞悪い夢を見た。ホントこんな夢見せる悪魔とか殺したい。
普段歩いて通学している帝人君が電車に乗るようなことがあるだろうかとメールで尋ねれば、オタクコンビに誘われて秋葉原に行くという。強制的に車で迎えに行って、俺も同行。
地味に邪魔そうにされたけど、皆に夕飯を奢ってやると言ったら手のひら返したように歓迎された。人間ってそんなもんだよね。
4日目。
通り魔と思しき男にナイフで刺される帝人君の夢を見て飛び起きた午前1時。部屋着にコートだけ羽織ってバイクでかっとばす。
帝人君の家の前につくと同時に中から本人が出てきたので、即座に声をかけた。喉が渇いたから自販機に行くとか言ってるけど、その先の道で通り魔出るからね。なんて言えるはずもなく、勿論違う道へ誘導、同行。
作品名:臨帝小ネタ集っぽいの 作家名:夏野